このように、薬価も含めて医療の値段は国が決めているが、「透明性」が低い。さらに国民医療費は年々増加しているので、ここは「日本の負け」とせざるを得ないであろう。

海外視察の後は
やはり「日本がいい」と感じる

真野俊樹さんの『日本の医療、くらべてみたら10勝5敗3分けで世界一』(講談社+α新書)が好評発売中。192ページ、907円(税込み)

 私が1995年に米国に留学した時に、日本と米国の「医療の差」に愕然としてから15年以上たった。現地の日本人医師に「20年後には日本の医療も米国のようになるよ」と言われたのを、今でも鮮明に覚えている。

 確かに、日本でも米国のように、徐々に「お金のあるなし」が治療を決めるようになっているようだ。しかし、国際政治学者のサミュエル・ハンチントンが世界的なベストセラーである「文明の衝突」で指摘したように、文化にも多様性があり日本文化もその一つの類型だという。私は医療も文化と同じように、国や地域によって多様性があると考える。つまり、日本の医療も、高齢化対応や最先端技術のおかげで向かっていく方向性は米国に似ているが、必ずしも一つの方向に収斂するわけではないのだ

 そういった視点で見てみると、米国医療にも優れたところもあり、劣ったところもある。ヨーロッパや北欧についても同じである。

 そんな折に、昨年は医療不信による日本医療へのバッシングが相次いで起きた。冷静な視点で見た場合、日本の医療はそれほど悪いのだろうか。

 私は仕事柄、海外の病院や医療事情を視察する機会が多い。そこでは多くの方々(医療関係者や企業関連、弁護士、会計士等の方々)と同行する。すると、必ず、最終日のラップアップでは、「やはり日本の医療がいいね」という結論になる。もちろん我々が日本人であるというバイアスは考慮に入れなければならないが、データを用いて比較しても、やはり、そのような結論になる。スバリ、日本ほど医療すべてにおいて、完璧に近い国はない。あまりにも、その事実が知られていないのではないか。

 もちろん、日本の医療にも問題点はあるだろう。このままだとマズいという問題もあるかもしれない。しかし現時点で「日本の医療は世界一」である。私は、そう実感している。

「日本の医療が劣っている」と感じるのは、多くの場合、医師や医療機関に対する患者の医療不信によるものだ。亀裂が生じつつある日本の患者と医師の信頼関係を改善することができるならば、すでに世界で最も優れている日本の医療を、さらにより良きモノへと引き上げることができるのではないか。

 それが日本国民にとってプラスになると信じている。