ナンバー2の常務が反発して独立!

 さらに、想定外の事態にも見舞われました。

 生え抜きの常務が私に反発。
 海外の有力商権(売上の上位を占めていた重要な取引先)であるP社と裏で通じ、独立してしまったのです。

 彼は、

「今度、日本電子から近藤というやり手が赴任してきた。彼が社長になったのは、P社の製品をマネして自社で製品化しようという狙いがあるからだ。日本レーザーは、あなた方のライバルになろうとしている」

 と偽った。
 そして、

「この際、日本レーザーをターミネーションして(取引をやめて)、日本法人を立ち上げたらどうだろうか。その会社の社長に私を採用してほしい」

 と持ちかけたのです。

親会社にとっても「賭け」だった子会社再建

 こうした逆風にさらされながら、それでも着々と合理化を進め、新規の販売先を開拓し、1期目を「約2000万円の黒字」で終えることができました。
 
 さらに、翌期も黒字を達成し、累積赤字を一掃したのです(1997年には、不良債権や不良在庫を整理し、バランスシートも改善)。

 累積赤字を一掃したとき、日本電子から人事担当だった専務が訪ねてきました。
 専務は私に、こう言ってねぎらってくれました。

「近藤くん、キミは賭けに勝ったね」

「債務超過の子会社を再建する」という仕事は、親会社にとっても「賭け」だったのです。