「情報発信」など五つの作業部会設置
フォワードガイダンスはすでに廃止

 FRB(米連邦準備制度理事会)の新たなトップに就任したウォーシュFRB議長は、6月17日に最初のFOMC(連邦公開市場委員会)、7月14日には半年に一度行われる米議会での証言とスケジュールをこなしつつ、その政策の志向性を明らかにしつつある。

 ここまでの動きを見ると、就任前に専ら取り沙汰されていたトランプ大統領の意向への配慮などとは少々次元の違う大きな構想を持って、議長職に臨んでいるように見える。

 具体的な動きとしては、6月FOMC後の会見で、従来のFRBの慣行を見直すとして(1)コミュニケーション(不透明な環境下での市場などへの情報発信)、(2)バランスシート政策、(3)データ、(4)生産性と雇用(AIを含む汎用テクノロジーの経済的影響の検討)、(5)インフレーション・フレームワーク(インフレへの対応の枠組み)―の諸点についてタスクフォース(作業部会)を設置することが明らかにされた。7月9日には、それぞれの部会のリーダーが指名された。

 とりわけコミュニケーションの問題では、作業部会の議論を待つ前にその方向性の片鱗(へんりん)が見え始めている。

 6月FOMCでは、声明文でフォワードガイダンス部分の文言が削除されたのをはじめ、全体の文字数も、前回対比6割減に簡素化された。会見では、ウォーシュ議長は、「会見は有用だが、開く時には必ず重要なことを言わねばならない、というのが師(ジョージ・シュルツ元国務長官・元財務長官を指すといわれる)の教えだ」と語った。

 今後、FOMC後の記者会見も、定例的なコミュニケーションの場というより、FRBが必要な時に必要なメッセージを伝える場という扱いになりそうだ。

 また、ウォーシュ氏がこれまで批判してきた量的緩和策などのバランスシート政策についても、縮小の方向で見直しが行われると考えられる。

 狙いは何なのか。コミュニケーションを限定する戦略には、FRBの行動の柔軟性を確保する意図もありそうだ。

 そしてバランスシート政策やインフレーション・フレームワークの議論では、資産価格の過度な上昇、いわゆる資産バブルについての取り組みも視野に収めていると思われる。