森友学園の騒動に隠れているが、野党第一党の民進党に新たな変化が起きている。
アベノミクスへの対抗軸を鮮明にしようという動きだ。重要な役割を演じている学者がいる。論壇で注目される若手の財政学者・井手英策慶応大学教授である。
3月12日、都内で開かれた民進党大会に招かれ、来賓として行った演説が「心揺さぶられるスピーチ」とネットで評判になった。
「民進党が政権を取れば、かつてのような成長を取り戻せるでしょうか。僕はそうは思いません」と突き放し、「経済を成長させ、所得を増やし、貯蓄で安心を買うといという自己責任モデルは破綻した」と言い切った。
では、アベノミクスへの対抗軸となる政策を井手は、どう語っているのか。
党大会での井手演説から民進党が目指す新たな道を探ってみた。
なぜ学者の井手英策があえて
特定政党の応援を買って出るのか
「普遍的な真理を追い求める学者が、特定の政党を応援する場に来る。これはとても勇気のいること、いや、むしろ、恥ずべきことでさえあります。だからこそ、僕が迷いを抱えてまで、今日この場に来た理由、想いをお話しさせてください」
会場で井手教授のスピーチを聞き、「こんなに痛快、そして熱く語る学者がいるとは」と驚いた。
井手は自分が呼ばれたのは、蓮舫代表が設置した「尊厳ある生活保障総合調査会」のアドバイザーだから、と述べつつ、調査会に参加することを知った友人たちから「もう民進党はダメだ」「あんな政党と関係を持たないほうがいい」と助言されたと明かした。