『週刊ダイヤモンド』4月1日号の第一特集は「美術とおカネ アートの裏側全部見せます。」。およそ80ページにも及ぶ大特集では、お金の流れから作家の生活、歴史から鑑賞術まで全てを網羅した。ここでは、アートが好きな経営者や学者、画家や写真家など特集で取材した“美の達人”たちのインタビューをお届けしたい。今回は、スープストックトーキョーなどを運営する遠山正道スマイルズ社長だ。(「週刊ダイヤモンド」編集部 竹田幸平)
新たなビジネスや活動に積極的
企業としてアート作品をつくる背景
──スマイルズは新たなビジネスや活動に積極的で、企業としてアート作品もつくっています。背景にどのような考えがあるのでしょうか。
私自身は三菱商事でのサラリーマン時代に、絵の個展を開いたのがアート活動の始まりでした。今思うと、現在のビジネススタイルとアートを始めたことには、いろいろ似ている点があるなと感じます。
それは大きく分けてみると「事の発意」「(作家の)作品と(企業の)商品の類似性」「モチベーション」といったところになるでしょうか。
まず「発意」ですが、「やってみたい」という気持ちがアーティストにとっては一番大事ですよね。逆にビジネス的に見れば、マーケティングがないともいえるかもしれません。外部の事情に重きを置いて調査し、それに合わせる形でモノを届けるのをマーケティングと呼ぶなら、そうではなく、自らの中から湧き出るような発意が欲しい、ということです。
外の事情に頼っちゃうと、作品や商品が売れているときはいいかもしれませんが、うまくいかないときは、結局、自分自身とは何だったのかが分からなくなってしまいます。