買収を発表した後に握手をするPSAのカルロス・タバレス社長(左)とGMのマリー・バーラCEO(最高経営責任者) Photo:GM

GMが欧州事業から撤退
オペルがPSAの傘下に

 フランスのPSA(プジョー/シトロエンなど)グループは3月6日、米国最大の自動車メーカー、「GM(ゼネラルモーターズ)の欧州子会社オペルなどを22億ユーロ(約2650億円)で買収する」と発表した。これによりGMは欧州市場から撤退することになる。PSAは年間販売台数100万台規模の勢力を傘下に収めることになり、欧州市場ではルノーを抜いてVW(フォルクスワーゲン)グループに次ぐ第2位になる。

 両社の発表によると、買収金額22億ユーロのうち13億2000万ユーロはドイツに本拠を置くアダム・オペルAGとその製造拠点、英国法人であるボグゾール(日本ではボクスホールとの表記が多い)の製造拠点、両ブランドの使用権などに対して支払われ、残る9億ユーロ弱はGMの欧州販売金融(自動車ローンなどの取り扱い)事業の取得に充てられる。この販売金融部門は、PSAの販売金融を取り扱うフランス金融業大手・BNPパリバとの共同取得になる。

 この買収は年内に実施され、今年いっぱいでGMは欧州での自動車製造販売事業から撤退する。同様にGMが欧州で販売している米国製シボレー車の扱いも、販売金融部門の売却によって打ちきりとなる。

 一方、PSA側は欧州GMグループの全資産を受け継ぐ。欧州市場のグループ別販売台数を昨年実績で見ると、VWが約350万台、ルノーが約150万台、PSAが約145万台、GMは約98万台だった。PSAとGMの合計は約250万台であり、ルノーに大差をつけることになる。

 現在の欧州GMグループは赤字を抱えている。PSAはプレミアムブランドとして展開しているDSの昨年販売実績が不調だった。この点についてPSAは「プラットホームの共同開発、部品および資材の共同購入、両社工場の有効活用などにより2020年までに黒字体質に変え、売上高営業利益率を2%にする」としている。