最後に、美術館を「癒やしの空間」として捉えることです。前者2つとは逆の発想になりますが、美術館は時が止まったような空間と言えます。実際に、ヒーリング(癒やし)効果もあるとされています。オススメなのは、鑑賞途中にある椅子で、美術とは関係のない本を読んで時間を過ごすことです。歌舞伎やコンサートであれば、時間的制約があってそもそも受動的な面があります。一方、展覧会なら時間を自由に使える点で能動的な余暇の過ごし方といえます。

美術館にある
一押しのカフェやレストラン

――今年は『カフェのある美術館 素敵な時間を楽しむ』(世界文化社)を刊行されましたが、美術館にある一押しのカフェやレストランがあれば教えて下さい。

『カフェのある美術館 素敵な時間をたのしむ』 中村剛士著 世界文化社 1728円(税込)

 都内だと南青山にある根津美術館のカフェ(NEZUCAFE)はよいですね。カフェが美術館から独立していて、広い庭園の中で、美術館とカフェが少し離れて位置しています。庭園の中で、外観の景色を見ながらゆったり過ごすことができます。

 丸の内の三菱一号館では、カフェレストラン(Cafe1894)が併設されていますが、こちらは美術館の鑑賞券がなくても入れます。展覧会は夕方までなのに対して、カフェレストランは夜まで営業していて、ディナーにも対応しています。実際に行ってみると、ビジネスマンらしき人たちが夜遅くまで残っているのを目にすることもあります。

 東京都美術館内にあるレストランも美術館の鑑賞券がなくても入れます。ローストビーフが名物で、本格的な料理を食べられるのが特徴的です。

 このほか都外では、静岡県のMOA美術館(熱海市)に関して、今年2月のリニューアル後に有名なレストランが入ってオープンしました(カフェ レストラン オー・ミラドー)。こちらは鑑賞券がないと入れませんが、正装でないと入りづらいような高級感のあるお店となっています。

 また神奈川県の横須賀美術館内には、鑑賞券がなくても入れる東京発のイタリアン(アクアマーレ)が出店しています。料理も美味しいし、海が見える絶景が最高です。地元の方の人気も高く、時にはレストランが混んでいるのに、美術館には人がまばらといった逆転現象が起きていることがあります。その他では、石川県の金沢21世紀美術館や、山口県立美術館のカフェもよかったですね。

――世界の中で「行ってよかった」と思ったのはどんな美術館でしょうか。