サンドラッグ(東京都府中市、才津達郎社長)は、セブン&アイ・ホールディングス(村田紀敏社長COO)(以下、セブン&アイ)と提携し、両社出資による新会社を設立する。具体的な内容は、まもなく両社で発表する予定だ。
サンドラッグとセブン&アイは、2009年6月より提携を前提に話し合いを開始。途中、セブン&アイ内部での調整のため2010年の前半に両社の話し合いは一時中断していたが、秋口より話し合いを再開。最終的にサンドラッグ50%、セブン&アイ50%での新会社設立で合意した。
新会社の役員は、サンドラッグからトップを含む2名、セブン&アイから1名の計3名で構成され、本社はセブン&アイ本部と同じ東京・四谷を検討している模様。新会社のスタッフは、イトーヨーカ堂住居事業部門のメンバーを中心に構成し、管理部門および商品部門はサンドラッグ本体がその機能を担う。
両社では、国内でGMSイトーヨーカドーが展開するヘルス&ビューティケア(H&BC)事業(一部雑貨を含む)および調剤事業について、セブンヘルスケアが展開する「7(セブン)美のガーデン」(約30店舗)を除くおよそ140店舗について、競合状況などをみながら新会社、あるいはサンドラッグいずれかでの展開を検討する。
新会社が取り扱う商品については、医薬品や化粧品、健康食品などH&BC関連商品で強みを持つサンドラッグが自社PBを導入するほか、新たなPB開発についてもサンドラッグ、セブン&アイ両社が新会社を通じて開発を進める。また、セブン&アイのPB「セブンプレミアム」に関しても、新会社での取り扱いに限定し導入される見込みだ。
設立新会社に関わる部門の事業規模は、イトーヨーカ堂住居事業部門のうちH&BC関連でおよそ800億円、荒物等を除く雑貨関連で200億円、合計1000億円程度と見込まれている。このうち、今年3月にイトーヨーカ堂より30店舗の移管を受けたセブンヘルスケアの事業規模が200億円程度であるため、新会社がイトーヨーカ堂のH&BC事業をすべて担う場合、その事業規模は800億円程度になる。
セブンヘルスケアの事業展開が進む一方で、あえてセブン&アイがサンドラッグと提携し、両社出資の新会社を設立する背景には、消費が低迷する中で一刻も早くGMSイトーヨーカドーの改革を進め、成長への道筋を付けたいという焦りにも近い思いがある。
セブン&アイは、2008年に提携したアインファーマシーズやイトーヨーカ堂、セブン-イレブンなどとともに設立し、軌道に乗り始めたセブンヘルスケアについては、今後の全店への水平展開スピードを勘案し、GMS事業全体を浮上させるには相応の時間が必要だと判断した模様だ。業績低迷が続くイトーヨーカ堂には時間的余裕はなく、即座に利益を創出するための実績と仕組みを持つ企業との提携によって、即効性の高い事業展開を進める必要があった。
出資比率やPB展開など、特にセブン&アイ側でのグループ内調整を必要とする事項が多かったが、最終的には両社折半での新会社設立となった。サンドラッグとしては、新会社設立によって商品供給の拡大が見込めるほか、ATMなどサービス機能の強化へ選択肢が増えることになった。
震災などの影響によって、一部商品を除き今後も消費低迷が続くとみられる中、セブン&アイのGMS改革は新たな一歩を踏み出す。
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