ナイスミーティング!

 くり返すが、「日々@好日」(長友さんのブログ)に出てくる店の多彩なこと、おいしそうなことと言ったら、他のグルメブログの追随を許さない。

 他のグルメブログとの大きな違いは、この店では何を食べるべきかという提言が添えられていたことだ。店のことをほめてはいるけれど、メニューが全品おいしいとは書いていない。

 ある日のブログはこんな感じだ。

「今日は大西一平君とゴルフの後、彼の店『1と8』でメシ。相変わらず、玉ねぎのステーキがうまい。一緒にいた宮澤カメラマンと3人で新しい仕事をすることに決めた。内容はまだ秘密。ナイスミーティングだった。3人での仕事が楽しみだ」

 ブログ中のナイスミーテイングという単語は長友さん独自の言葉の使い方で、おそらくゴルフの「ナイスショット」から来ていると思われる。彼はナイスミーテイングという言葉が気に入っていたようで、ブログには頻繁に出てくる。

 結局のところ、長友さんは誰と会っても、何の話であっても、「メシがうまけりゃ、それでナイスミーティング」だったのだろう。 

 ただ、長友さんは会食の際の行儀には、結構、うるさかった。わたしは長友さんに連れられて、数多くの店、クラブ、バーに行き、その場で料理の選び方、金の払い方、一緒に食事する時の話題、食事相手や店の人への気の遣い方を教わった。長友さんとの食事はわたしにとって行儀やちょっとした教養を教わる場でもあった。

「野地くん、品川の『モンドバー』では自家製ハムやな。あと、きゅうりが入ってないポテサラ。1杯目はハイボール。2杯目は白ワインで、3杯目からまたハイボールに戻る」

「日光にある『食堂すずき』の天然氷のかき氷にカルーアミルクをかけると、これはうまいで」

「『京味』の西さん、へんこ(関西弁では、がんこ)やけど、料理も人間も天下一品やで。あっこの料理が日本の味やな」

「では、長友さん、京味では何を注文すればいいんですか?」

「あのな、野地くん、『京味』で、“あれ出せ、これ出せ”言ってるのは田舎モンだけや。やめとき。黙って、おいしい、おいしいと言ってあげ」

 金の払い方はとても勉強になった。

「仕事をしている人にはご馳走になっていい。こっちから仕事を頼んでる人にはおごるのが当然でしょう」

「ふたりで食べたら、年上の人間が出すのがスマート……」

 20歳近く年下のわたしが払う場面では、「ちゃんと領収証をもらっとき」と勘定を持ってきた店の人の前で念を押す。そうすれば店の人が自動的に領収証を持ってくる。

「フリーの人間が領収証をもらわないなんて、へんなところでかっこつけなくてよろしい」

 長友さんはビジネスマンとしては常識人だった。銀座のクラブで大臣遊びをするかと思えばそうではなかったのである。

「野地くん、こういうところ(銀座のクラブ)でシャンパンを開けるのは、開けるにふさわしい金持ちが登場するまで、じっと待つのがコツや」

 深遠にして明快な、実用的な知恵を教えてくれる人だった。


「モンドバー品川店」
◆住所
東京都港区港南2-18-1 アトレ品川 4F
◆電話
03-6717-0923
◆営業時間
11:00~24:00 無休※ビルの休館日に準ずる

 

「食堂すゞき (すずき)」
◆住所
栃木県日光市御幸町581-2
※東武日光駅から徒歩10分程度
◆電話
0288-54-0662
◆営業時間
営業時間 11:15~14:30、17:15~21:00 水曜定休

 

「京味 (きょうあじ)」
◆住所
東京都港区新橋3-3-5
◆電話
03-3591-3344
◆営業時間
※完全予約制・紹介制
営業時間 12時00分~14時00分、18時00分~22時00分 日祝定休