みんな大好き「高利回り」。でも、数字だけを見て飛びつくのではなく、少し立ち止まってみませんか。人気投資ブロガーで、『運、タイミング、テクニックに頼らない! 最強のファンダメンタル株式投資法』を出版したv-com2(ブイコムツー)さんと考える、高利回りのワナ。
配当利回りは高ければいい…のか?
株式投資にも慣れてくると、さまざまな指標が気になってきます。なかでも「配当利回り」に注目する人は多いのではないでしょうか。
ヤフーファイナンスや証券会社の銘柄情報のページには、配当利回りが記載されています。
しかし、これは確定したものではありません。
記載されている数字を見て、高配当を期待して株を買っても、減配や株価下落など、思わぬ落とし穴にはまることもあります。
そのリスクを避けるにはどうしたらいいのでしょうか?
それにはたった1つ、「その高配当は、何年も維持可能なのか?」という視点で考えてみることです。具体的には、なぜ高配当になっているのかという「背景」に注目します。
・一時的な好業績により高配当利回り
・業績不調に伴う株価の下落の結果として高配当利回り
このような企業は、今後の減配が懸念されます。減配された場合には、配当のほかに魅力がないなら、株価は下落してしまうことでしょう。
どうしたら、そういう企業を避けられるのか…と疑問に思ったら、即行動です。
「高配当 減配」などで検索すれば、さまざまな人たちが減配する可能性が高い(低い)銘柄について、意見を書いています。
そうした記事を読むだけでも、知識の向上につながりますね。
あるいは、日々の適時開示情報をていねいにチェックすることで、減配をした銘柄がどういう経営状況なのかがわかり、知識が蓄積されていきます。
少し面倒に感じるかもしれませんが、そういうことを自分で実際にやらないと、本当の意味で自分のものにすることはできません。
「未来の高配当利回り」に注目しよう
拙著『運、タイミング、テクニックに頼らない! 最強のファンダメンタル株式投資法』では、「“未来の高配当利回り”に注目する」ことを提案しています。
今の配当利回りは2%でも、将来、配当金額が倍増することで、今の株価に対する配当利回りが4%に成長するような企業を探すという手法です。
ようは、目先の利回り数字に釣られず、将来を見据えた投資をしようということです。
銘柄の探し方も具体的に解説していますが、難しいことはありません。
私自身が長年投資をしていて感じた、「こういう視点で考えられるようになるとうまくいく」を、今回初めて、紹介してみました。
高配当、高分配=おトク とは限らない
株式投資以外の世界にも、高利回りをアピールする商品はたくさんあります。
株式投資に近いところでは、高い分配利回りをウリにする毎月分配型の投資信託も、いまだに人気を集めているようです。
しかし、高利回りだけを目的に、このような商品に投資するのは非常に危険です。
なかには20%もの分配金を出すような商品がありますが、投資家としては「どこかに無理がある」のを感じ取らなければなりません。
異常に高い分配金を何年も継続して出すには、レバレッジをかけるなど無茶なリスクを取るか、元本そのものを流出させて高利回りに見せかけるか、大きく分けて2つくらいしかないと思います。
つまり、何年も高い分配金を出し続けるのは、そもそも不可能に近いということです。それなのに、「利回り20%なら5年で元が取れてあとは全部利益」のように考えてしまうのは非常に危険なことです。
毎月分配型の投信ばかりが売れ筋になるのは日本独自の特徴のようですが、売る側にも買う側にも問題があると以前から感じています。
どちらも目先のことしか見ていないのではないでしょうか。
それでは、中長期的に資産形成につながる投資は育ちません。
なお、最近になりようやく金融庁が、過度な分配金に警鐘を鳴らしています。
「日本の資産運用業界への期待」 日本証券アナリスト協会 第8回国際セミナー
「資産運用ビジネスの新しい動きとそれに向けた戦略」における 森金融庁長官基調講演
上記の解説記事「まともな投信1%、森信親金融庁長官が斬る業界の悪弊」森本紀行
ぜひ、高配当や高分配=おトク、とは限らないということを考えていただきたいと思います。
高利回りが持続可能なものかどうかを、自分で少し考えるだけで、金融商品の見方が変わります。
日利1%!?
最近、驚いたのは、年利どころか日利1%とか3%などという、怪しすぎる商品の話をちらほら聞くようになったことです。はっきり言いますが、そんなものは投資でも何でもありません。
そんな話を目にした時には、「むちゃくちゃ利回りがいいからおトク!」などという発想ではなく、また、「そんなうまい話があるわけない!」で終わらせるのではなく、
・運営側は、どうやってその利回りを実現するのか?
・お金を出す側は、どういうリスクを負う必要があるのか?
・行きつく果てには、何が待っているのか?
を考えてみることです。
そうして立ち止まって考える習慣があれば、異常な高利回りを長期間持続することは、不可能であるとわかります。
それでも、残念ながらいつの時代も、こうした儲け話にとびついてしまう人はいるものです(預け先が破綻などして初めて気づきます)。
配当金や分配金というのは、投資先が稼いだお金から投資家に払われるものです。
稼いでいる以上のものを払い続ければいずれ行き詰まる。
これが、本質です。
決して、難しい話ではないのです。