ダイヤモンド・ザイや日経マネーにたびたび登場! 人気投資ブロガーで個人投資家のv-com2(ブイコムツー)さんに聞く株式投資法。連載1回目は、『運、タイミング、テクニックに頼らない! 最強の株式投資法』を上梓したばかりの氏が、投資をはじめるきかっけになった株主優待を語ります。
今年は3月28日!
3月は、1年で最も多くの企業が、株主優待の「権利付最終日」(2017年は3月28日)を迎える月です。
権利付最終日とは、「この日に株式を保有している株主に対して、株主優待や配当をあげますよ」という日のことです。
多くの企業では、決算月末(権利確定日)の時点で、株主名簿に名前が載っている人に対して、株主優待や配当を送るのですが、名簿に名前が載るまでには3営業日かかるので、決算月末の3営業日前時点で株を保有している必要があるわけです。
日本の場合、3月末決算の企業が多いので、3月末の3営業日前(2017年は3月28日)が、“権利付最終日ラッシュ”になります。
権利付最終日に、株主優待を実施している企業の株式を保有していると、約3ヵ月後に、株主優待が送られてきます。
“優待投資家”にとって、権利付最終日は、これから収穫する幸せの種まきをする日ということですね。
株主優待というと、通常であれば、まずは企業からもらえる商品の魅力度・お得度に目がいきます。
さまざまな優待がありますが、使ってうれしい優待としては、外食企業のお食事券が定番ですね。
最近でも、すかいらーく(3197)が、優待内容を従来の3倍増しに変更すると発表し、大きな話題になりました。
この優待拡充を受けて、すかいらーくの株を買いたい人が増えているせいか、株価も上昇基調です。
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100株保有で年間6000円、1000株保有だと年間6万9000円もの優待券が送られてきます。年間6万9000円だと1ヵ月あたり5750円の優待生活が可能になります。
さらに、家族それぞれの名義で株を買えば、もらえる優待は2倍、3倍と増やすこともできます。
配当も、1株当たり40円と比較的高めのため、すかいらーくの配当+優待利回りは約6%程度にもなり、お得な投資先の一つでしょう。
私も、まだ株価が安いうちに購入しました。早めに動いたので、幸運にも1500円台で買えました。株価の含み益も出ており、今は優待が届くの楽しみにしながら保有を続けています(すかいらーくは6月末が権利確定日なので、優待は9月ごろに届く予定です)。
株主優待を実施している企業は、今や上場企業全体の30%を超え、1200社以上が実施しています。
毎週のように、どこかの企業が株主優待の新設を発表しているのではというくらい、新設する企業も増えているようです。
これから株式投資を始めようという方にとって、株主優待は、投資への最初の一歩を踏み出すよいきっかけになると思います。なにごとも、楽しそうなイメージがなければ、なかなか始められません。
実際に、投資をすると企業から贈り物が届くという体験は、非常にうれしいものです。こうして投資がますます楽しくなっていきます。
優待株の先回り投資でキャピタルゲインを狙う
けれど、実は株主優待をもらうだけが、優待株の魅力ではありません。
この3月のように、株主優待には決まった「権利付最終日」があるという特徴を深く理解していくと、
権利付最終日に向けて株を買いたい人が増えて行く = 株価が上がる傾向がある
ことがわかり、そこから、
他の投資家より先に株を買っておいて、権利付最終日に向けた値上がりを狙って、キャピタルゲイン(値上がり益)を得よう
という作戦も考えられます。
また、お得な株主優待というのは、徐々に知名度が上がって買いたい人が増えて行くという特徴もあるため、株主優待が新設または拡充された株を、一般にあまり知れ渡る前に買っておくと、時間とともに徐々に値上がりするといった現象が過去にもたびたび起こっています。
すかいらーくについてもまさに今、それが起こっているのではないかと想像できるわけです。
株主優待一つとっても、深く追求すれば、いろいろな投資チャンスがあるということです。
株式投資の正解は一つではありません。人それぞれが自分に合った方法で、自分だけの正解を見つけて行くという意識が重要です。
そのための軸の一つとして、株主優待を追求してみるのも面白いのではないでしょうか。
私自身も、株式投資を始めたきっかけは株主優待を知ったことでした。
最初は、たくさんのお食事券などの優待を獲得することが楽しくて仕方がなかったのですが、優待を追求しているうちに、だんだん楽しさの対象が株式投資全体に広がっていって、とうとうオリジナルの株式投資法まで考え出すようになりました。
そのあたりは、私が初めて出版した『昇格期待の優待バリュー株で1億稼ぐ!』(v-com2著 すばる舎)に詳しく書いてあります。
株主優待と出会えたおかげで株式投資を始めることができ、株主優待とともにたくさんの投資経験を積んできたおかげで、いつのまにか株で1億円達成という、途方もない山に登っていた経緯を書きました。
最初から1億円稼いでやろうなんて思っていたわけではなく、やるべきことをやっていった結果として、本当にいつの間にかこのような大きな資産が形成できてしまったというのが実際の所なのです。
そして今回、第2弾になる新刊書籍 『運、タイミング、テクニックに頼らない! 最強のファンダメンタル株式投資法』(ダイヤモンド社)を出版しました。
本書では株主優待の楽しさだけではなく、株主優待株を使ってキャピタルゲインを得た事例や、企業側から考える株主優待など、一般的な本とは違う視点から、株主優待の見方を意識的に取り上げています。
また、株主優待だけでなく、私自身がどういう軸をベースに株式投資に取り組んでいるのかを紹介したうえで、それに生かすための財務諸表の読み方も解説しています。
たとえば、企業から発表されたニュースに対して、私が何を考えどう対応したのかなどをこと細かに説明しました。
この連載コラムでも、これから週に1~2度のペースで、一部をご紹介して行きたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。