異動先での挨拶は「どんな人なのか」を伝える大事な機会。自己紹介カードを配るというのも一つの手です

 組織に勤めるビジネスパーソンにとって、春は人事異動の季節。勤め人のみなさんの周りでは、引き継ぎやら新しい人の受け入れ準備やらで、バタバタと忙しい時期を過ごしていることと思う。

 私はといえば自分自身の「異動」と無縁になって早20年。といっても、仕事上の付き合いの中では、クライアント企業の担当者が異動になるのはよくある話だ。そんなときは、以下のようなことを思う。

 ・せっかく一緒にやってきたのに、また一から関係を作り直さなくてはいけない(のが少し面倒だな) 
 ・今まで進めてきた仕事が(なんだかんだで)無くなってしまう可能性がある(ので困るな)
 ・いろいろ仲良くなった人と会えなくなるのは、(純粋に)寂しいな

 とはいえ、担当者が変わるのは悪いことばかりではない。新しい担当者によって、今まで無かった知見や感性、思想が持ち込まれるというメリットは大きい。思わぬ繋がりやビジネスの新展開が起きることも多い。

 一方で、異動する本人はとにかく大変だ。私もサラリーマン時代はそれなりに苦労してきた。それ以上に大変だったのは、ハンズオン型(顧客企業に席を置いて、相手企業の一員として仕事をする)のコンサルティングをやっていたときのことだ。社員でもなく、大先生でもないのに、チームメンバーとしてその日からすぐに機能しなくてはならない。その時の苦労をもとに、以前、組織でいかに新参者が行動すればよいかについての著作を上梓したが、出版して10年以上たつ現在も売れ続けている。やはり多くの人が、組織に馴染む難しさを感じているようである。そこで、今回は、新しい部署に異動した際に、周りとどうやってうまくやればよいかについて解説してみようと思う。

「異動したばかりで…」が通用するのはせいぜい3ヵ月
異動直後は「仕事で貢献」と「仲間化」に注力を

 異動した直後に気をつけるべきは大きく分けて2点ある。

 1.「仕事」で組織に貢献する
 2.「仲間」として組織に受け入れられる

「やけにシンプルだな」と思われるかもしれないが、削ぎ落としていけばこういうことになる。1と2は、「1(の仕事)ができると2(の仲間化)も可能になりやすい」「2がうまくいくから1もうまくいく」と、相互に関係しているため、必ずこの2つをセットで達成する必要がある。そのためにも、異動の事前・事後に下記のことを、できるだけ早く頭に入れ実施するのがいいと思う。