前回は本年1月から個人型確定拠出年金(愛称、iDeCo)に加入できるようになった公務員の方々を対象に、「収入が安定している公務員こそ、リスクを味方に積極運用すべし」と書きました。そうは言っても、まとまったお金もないし、知識もないので、投資なんて始められないと思っている人が多いと思います。実際、金融庁の資料を見ても、「投資は資産形成に必要だと思うが、投資を行わない理由」として、第1位が「まとまった資金がないから」、第2位が「投資の知識がないから」となっています。
でも、これらを言い訳にして結果として何もしなければ、将来「老後難民」に陥ってしまう可能性が高まっていることは、当連載の読者ならすでにご存知だと思います。少しネタバレになるかもしれませんが、昨年話題となった映画「君の名は。」では、このままでは大惨事に直面するヒロインたちに対して、少し未来にいる主人公が過去とのつながりを持つことで、ヒロインたちを救っています。大惨事になるという点では「老後難民」も同じ。でも、映画のように過去とつながりを持って過去の自分に「もっとしっかりと老後に備えておけ!」とアドバイスするなんてできません。今の自分が将来に対するほんの少しの想像力と、そしてほんの少しの実行力を発揮して動かなければ何も解決しないのです。
幸いなことに、老後の資産形成を非課税で有利に進めるための制度が昨今、充実してきています。これらを利用すれば、「投資を行わない理由」を上手く乗り越えることができるかもしれません。
投資にはまとまった資金が必要なのか?
投資や資産運用はまとまった資金がないと始められない、つまりお金持ちでないと始められないイメージがありますが、これは本当でしょうか? 答えはNoです。資産運用は一括投資だけでなく、毎月のお給料から少しずつコツコツと積み立てることもできます。実はiDeCoは正にこれを実践する制度であり、運用益が非課税になるのはもちろん、拠出金が所得控除になりますので所得税率が20%の人であれば拠出額の20%が年末調整で戻ってくる非常に魅力的な制度なのです。