これまで何度となく、米マイクロソフト(MS)は米Yahoo!を買収しようとしてきましたが、2008年2月になってその提案が再浮上してきました。

 しかも、今回の提案はYahoo!1株あたり31ドルと、買収提案前日の終値に62%上乗せした好条件のため、Yahoo!創業者のジェリー・ヤン氏は買収に反対し、買収提案をYahoo!は拒否。ただ他の多くの株主の動き次第では実現される可能性も否定できません。(注:2月13日には米ニューズ・コーポレーションもYahoo!との経営統合に向け協議に入ったとの報道もあり、状況は二転三転、今回の買収劇の動向は予断を許さない状況となっている)

 米国の検索エンジン市場では圧倒的にGoogleが強く、市場調査会社コムスコアによるとGoogleのシェアは58.5%、Yahoo!は22.9%、そしてMSNは9.7%で「6:2:1」の比率です。このうちGoogleは前年比増で、Yahoo!とMSNは共に前年比減というように、Googleだけが伸びている状況です。

 このような状況下のYahoo!買収提案によって、検索エンジン業界はどう変わるのでしょうか。各種の報道から、米Yahoo!には3つの選択肢があることが見えてきました。

第1の選択肢:
MSの買収提案を受け入れる

 第1の選択肢は、提案どおりにマイクロソフトに買収されることです。しかし、この案に対しては創業者のジェリー・ヤン氏などが反対を表明しており、他の株主たちの相当なプレッシャーがない限り実現は難しいと思われます。

 仮に実現したとしても、両社の企業風土の違いが統合の障害になると予想されます。マイクロソフトはWindowsなどのコンピュータソフトのメーカーであり、Yahoo!はインターネット企業として生まれ育ってきました。両社では、組織の文化が大きく異なります。

 これまでコンピュータソフトの分野で独占的な地位を築いてきたマイクロソフトと、インターネットという多様な価値観や技術を統合して自由な風土のなかで発展してきたYahoo!では、たとえ統合が実現しても、その先には人材の流出やユーザー離れが予想されます。そうなると、相乗効果を生み出すための統合が、結果的に両社の衰退につながり、Googleのさらなる飛躍を助ける結果になりかねません。