裏切り行為と自覚し、
転職プロセスを進めよ

 出て行かれる会社側から見ると、経営者、経営陣以外は「裏切り行為だ!」とはあまり強く思わないはずです。なぜなら自分も転職する人と同じ、雇われる立場だからです。中には「競合に行くとは何事だ!」と怒る上司がいるかもしれませんが、そういう人も役員でなければ雇われる立場です。

 したがって、同業他社へ転職するときは経営者に対しては裏切り行為になるという自覚を持った上で、転職プロセスを進めていくことです。「転職時『円満退社』にこだわらないほうがいい理由」(2017年4月17日公開)でも書きましたが、転職はある意味裏切り行為なので基本的に上手く辞めることは難しく、上手く辞められたらラッキーなのです。

 経営者が怒りのあまり「転職をさせない」と転職を認めなかったり妨害したりしてくるようなケースも少なからずあります。しかし、会社の意向にかかわらず、個人の意思で会社は辞められますし、転職したいのにできないということはありません。

 以前、転職先が決まったのに「社長が会社に預けている年金手帳を返してくれないので会社を辞められない」と候補者の方から相談を受けたケースがありました。転職を妨害するために、この会社の社長は年金手帳を返そうとしなかったのです。

 しかし、社会保険事務所に相談したところ「再発行できる」との回答だったので、「『いりません』と伝えればいいですよ」とアドバイスしたところ、結局、年金手帳は返却され、転職も無事にできました。

 就業規則に退職後、同業他社への転職を禁止する規定が盛り込まれている会社もあります。しかし職業選択の自由(日本国憲法第22条)との兼ね合いがあり、仮に裁判になっても、すべて会社側の言い分が通るわけではありません。むしろ実際には会社側が勝てないケースが多いと思われ、抑止力としての効果しかないのが大半でしょう。