日本の貿易構造の変化を検討するため、前回は輸出と輸入の比率を見た。そこでの結論は、電気機器などの組立型製造業の輸出・輸入比率が低下している半面で、鉄鋼のような原材料型産業の輸出・輸入比率は上昇しているということであった。日本の貿易構造は高度化しているとは言い難い。

 問題は、このような貿易構造を今後も継続してよいかどうかだ。原子力発電から火力発電へのシフトによって鉱物性燃料の輸入増加が不可避であることを考えると、日本の貿易構造を大きく変化させることが必要だ。

原油価格上昇により
鉱物性燃料の比重が上昇

 今回は、鉱物性燃料やいくつかの製品の輸入について、総輸入中の比重の変化を見ることとしよう。

 原油、LNG(液化天然ガス)など鉱物性燃料の輸入額の輸入総額に占める比率は、1980年代には20~25%程度だった。その後低下して、90年代後半には15~20%程度になった(【図表1】)。日本は、原油を輸入して工業製品を輸出する加工貿易の国からは脱却しつつあるように思えたのである。

 ところが、2000年頃からこの比率は再び上昇に転じた。07年には30%を超えた。08年8月には、40%を超える高い比率になった。この時点を除いても、比率が継続的に上昇していることに違いはない。2010年12月以降は、継続して30%を超えている。

 ところで、鉱物性燃料の輸入数量は、格別増加しているわけではない。原油について示すと、【図表2】のとおりである。これから分かるように、原油輸入数量は、時間的にほとんど変化していない。むしろ長期的には若干低下気味である。したがって、上で見た鉱物性燃料輸入額は、価格上昇によってもたらされたものだ。

 原油価格は、短期的には金融面の条件を反映した投機取引によって高騰する。08年の原油価格上昇は、明らかにそうした要因によるものだった。昨年秋頃からの原油価格高騰も、アメリカの金融緩和(QE2)によるドル安と、中東の政治的不安定化によって惹起されたものである。