企業側が発信する情報よりも
“口コミ”のほうが信頼される

 企業はなぜ複雑なマーケティング戦略を立ててまで、あえて一般人のインフルエンサーを起用するのか。その理由について高橋氏は「ユーザーのネット行動が変化したから」だと説明する。

「たとえばブログブームだった00年代初頭は、目的を持ってパソコンの前に座る人が多かった。GoogleやYahooなどの検索ウィンドウを使って知りたい情報をリサーチすると、著名人のブログなんかに行き着いたわけです。しかし、10年を過ぎたあたりからSNSが普及してきて、そこにスマホが加わるようになってからは、一般ユーザーが発信する情報も多くの人に共有されるようになりました」(同)

 私たちはスマホを介して、日常の延長線上で無意識に情報を得ている。そうしたなかで、個人ユーザーのインフルエンス力そのものが以前に比べて高まっているのだ。そして何より、個人ユーザーが発信する情報は圧倒的に信頼度が高いと、高橋氏は言う。

「企業側から発信する情報に下心があるというのは周知の事実ですし、芸能人によるステマ事件などが明るみに出たこともあって、消費者は有名インフルエンサーの発言に対して慎重になっています。そのため、企業側に『書かされた』かもしれない芸能人のブログより、純粋にその商材が好きな個人ユーザーの発言のほうが信頼に足るようです」(同)

 中立的な立場の人からの“口コミ”は、以前から信頼度の高い情報だった。その口コミがデジタル上でも交わされるようになった現在、企業側も一方的に情報を発信するだけ、というわけにはいかなくなってきている。インフルエンサーをいかに巻き込み、効率的な口コミ効果を出していくか。ネットマーケティングの最前線は、かつての企業広告の世界から様変わりしている。