中国のネット通販最大のセール日となる11月11日(独身の日)。爆買いでおなじみの日本製品も多数売れたが、有名ナショナルブランドばかりではない。ある小さなシートマスクメーカーの製品が売れた理由とは?

売上げの半分は中国!
倍々ゲームで成長中

 社員わずか5人の化粧品メーカー、クオリティファーストが誕生したのは2012年2月のこと。設立から4年半あまりで売上高は40億円に届くまでに急成長しており、うち、ほぼ半分が中国での売上げだ。

中国で日本製美容フェイスマスクが爆売れした仕掛けとは日本でも伸びているフェイスマスク市場だが、中国での人気度は日本以上。中国人が日本製品に求める「品質の良さ」は必須だが、それだけではヒットは難しい。中国人女性の心を掴むマーケティング術とは?

 今年の「独身の日」のセールでは、最大手・アリババの運営する「天猫(Tmall)」の部門別売上げで、同社製品がナンバーワンを獲得。化粧品カテゴリー全体でも4位と大健闘した(中国ECの調査データ、Nint for Chinaより)。

 扱う商品はフェイスマスク。美容液をしみ込ませた、袋入りの使い捨てマスクだ。

 フェイスマスク市場は、日本・中国ともに伸びている。

 日本ではかつて、1枚1000円以上する“高級品”が主だったが、1枚数百円くらいと安く、頻繁に使える手軽さがウリの韓国製品が輸入されて、人気に火がついた。「現在、日本の化粧品で唯一、伸びているジャンルです」(渡辺治樹・クオリティファースト社ファウンダー)。クオリティファーストは、1枚数十円と、韓国製よりさらに価格を下げ、かつ高品質の商品づくりにこだわった。

 フェイスマスクは、お隣の中国では日本以上に売れている。しかし、粗悪品が多いのはフェイスマスクも同じ。ステロイド入りなど、有害な商品がたくさん売られている。つい最近も、中国の国家食品薬品監督管理総局が中国全土で販売している約50種類のフェイスマスクについて、禁止されている添加剤が使用されており不合格商品だ、と発表したばかりだ。