──そもそもの「女性の生産性の低さ」や「女性に任せられている仕事が、付加価値の低いものが多い」理由は、キャリアを積んで昇進していく仕事よりも、契約社員やパートなどの就業形態の方が時間の調節が容易で、家事負担の多い現状にフィットした働き方だから、という可能性もありますね。

 労働者派遣法の改正により、契約社員として3年働いた場合は正規社員に登用するか、辞めさせるかの二択になってしまいました。これにより契約社員だからこそバランスを取って働けていた人まで、離職を余儀なくされるケースが出てきています。これは企業にとっても悪影響で、せっかく仕事を覚えた人を手放さなければいけないリスクが増えた。

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 政府は現在「働き方改革」の名の下に、在宅勤務の推奨も行っています。これは一見、女性の働き方に選択肢が増えるかのように見えますが、実は労働者自らが介護をしやすい環境を作って社会保障の負担を減らす、という国にとって都合がいい側面もある。そもそも根本の部分で、女性の家事負担を軽減する仕組みではないんです。

 安倍内閣が掲げるビジョンはGDPの高い社会ですが、GDPが高いから国民が幸せなわけではありません。実際、優遇されているのは一部大手企業で、庶民の生活にその恩恵が降りてきている実感はありません。

 先に述べた「働き方改革」では、過労死を防止するため長時間労働に制限を設け「繁忙期でも残業は月最大100時間」を掲げていますが、今、これを打ち立てても建設や流通など立ちゆかない業界は多数あるでしょうし、結局は水面下で非正規残業が起こるだけ。また副業解禁の動きも、働き過ぎる人が増える、という目的と逆行した懸念をはらんでいます。

 働き方が多様化している今、必要なのは、労働時間の削減よりも、労働の質の評価ではないでしょうか。こんな絵に描いた餅のようなプランでは意味がないのに「労働時間の削減」「税収アップ」「正社員登用数」などの数値化しやすいところから着手する。これは官公庁や企業がKPI(重要業績評価指標・Key Performance Indicator)を求める結果である可能性も否めません。