立ち遅れが目立つ中央の復興論議
政策ツールの具体化を急げ

 震災発生から早や3ヵ月を経過したが、いまだ復興の具体案が定まらない。百家争鳴の姿を呈している復興論議の中でも、かまびすしく聞こえてくるのは霞ヶ関の組織論や財源論ばかりである。

 5月に日本総研では「復興構想の早期実現を可能とする枠組みづくりを急げ」と題して、画餅の理想論や屋上屋を重ねる新組織ではなく、被災自治体がスピードを上げて復興事業に取り組める実用的なツールを、早期に打ち出すよう提言したばかりだが、現実はどうか。

 今国会に提出された震災復興の関連法案は、特例公債や税制改正等の財源関連を含めて約20本。このうち現時点(6月6日)で成立したのは、被災土地家屋の課税免除や地方選延期、旅券手数料免除など半分程度であり、いずれも被災実態に応じて当面の対応を取ったに過ぎず、本格復興を加速する政策措置ではない。

 復興基本方針や組織を定める復興基本法案や、被災地金融機関に公的資金を投入する金融特措法改正などは、なお審議途上にある。報道各社の世論調査でも、阪神・淡路大震災と比較して復興策の遅れを指摘する声が大きい。

 本来であれば、年明け以降の本格的な復興再生を見据えて、2次補正や次年度の概算要求に全力で取り組むべきこの時期にきても、早期復興を後押しする枠組みや支援制度が出揃ってこないのは、いかにもスピード感に欠けるうらみがある。