震災復興でさらに借金を重ねれば
日本国の信頼は下がる一方

 震災から5ヵ月近くが経過した。被災地では復旧作業が進められる一方で、秋頃を目処に市町村ごとの復興計画の策定が行われ、国でも震災復興の支援方策は多方面から検討されている。

 がれきの除去や道路、水道等のインフラの復旧、仮設住宅等の整備は迅速に行う必要があり、これらはいわゆる「真水」と呼ばれる、税金を直接投入する公共工事によって行われる。そして、今後、被災市町村が策定する復興計画に盛り込まれる事業の多くも、今後は国債や地方債といった「官」が調達する資金で賄われることになる。これらは当然「借金」である。

 一方、日本の債務総額はGDP比213%と先進国の中では突出している。このような借金大国である日本が、今回の震災でさらに多額の借金を重ねることになれば、世界的に見れば国の信頼は下がる一方である。政府は、震災復興の返済財源として、所得税などの基幹税の増税を5年~10年行うことで約10兆円を賄う案を提示しているが、増税は景気を押し下げる要因ともなるため、これだけでは国際金融市場における日本の信頼維持に十分とは言えない。

 今こそ国をあげて、「官」が負う「債務」を極力抑えるための震災復興のあり方について、もっと知恵を絞っていく必要があるのではないだろうか。

総額1500兆円にのぼる
個人金融資産への注目

 そこで、注目するのが「民間資金」である。ここで言う民間資金とは、税金や国債といった「官」を経由せずに復興事業に活用される資金のことである。とりわけ、民間が主体となって行う復興事業における資金需要は高まっているはずである。