昨年、DeNAのキュレーション事業において、著作権法および薬機法等の法令に違反する可能性がある記事や、内容が不適切な記事が作成・公開されていたことが大きな問題となった件で、3月13日に、同社が設置した第三者委員会による調査報告書(「調査報告書(キュレーション事業に関する件)」)が公表されました。
この報告書の内容を受け、第三者委員会等の調査報告書を格付けして公表する第三者委員会報告書格付け委員会は、4月4日に本件に関する格付け結果を発表しました(「格付け結果 第13回格付け」)。
5月11日に、DeNAは2017年3月期連結決算を発表しましたが、「事業の再開含め、今後のサービスの構築等については未定」と回答しており、依然として今後の行方が判然としない状況です。今回は、第三者委員会報告書格付け委員会の委員長を務める日比谷パーク法律事務所の久保利英明弁護士に、本件の報告書についてどのように評価しているのか、お話を伺いました。
そこまで優れていない報告書
――今回DeNAで起こった問題を見て、どういう印象を持たれましたか。
新しいネットビジネスで起こった、大変興味深い事件でした。ただ、まだ不解明なところがたくさんある事例だと感じています。たとえば「キュレーション」事業の本質が不明確という点は解消されていません。「キュレーション」、「プラットフォーム」、「メディア」と、仕分けして使われていますが、定義も実態も事業目的も明確ではありません。
また、著作権法の複製権の侵害について主に調査されていますが、それよりも、キュレーション事業を何のためにやっているのか、ビジネスモデルそのものが抱える問題点に着目すべきでないかと思っています。