トランプ大統領は、大統領に就任してまもなく、イスラム教徒が大多数を占める中東・アフリカ6ヵ国からの入国を一時禁止する大統領令に署名しました。これは、この6ヵ国の人々だけではなく、すべてのイスラム教徒を敵にまわす行為です。この入国禁止令は世界におけるアメリカのリーダーシップを揺るがすばかりか、アメリカ人としての倫理にも反するものです。アメリカは伝統的に信仰や宗教によって人を差別しないことを国是としてきた国だからです。

 これまでの90日間を見る限り、トランプ大統領の外交政策はうまくいっていないというのが私の印象です。ただ、公平を期すために申し上げておきたいのですが、どの大統領も最初の100日間は非常に苦労します。例えば、ジョン・F・ケネディは、大統領に就任して100日も経たないとき、キューバへの侵攻作戦を実行して失敗しています(ピッグス湾事件=1961年4月、米国がカストロ政権の転覆を狙ってキューバに侵攻した事件)。ところがケネディはこの失敗から多くを学び、その後、様々な外交政策を成功させていきました。トランプ大統領が、これまでの失策から学び、それを今後生かしていってくれるのかはまだわかりません。

実はオバマ政権と大きく違わない
トランプ政権の対北朝鮮政策

佐藤智恵氏

佐藤 トランプ大統領の外交・軍事政策を見ていると、「オバマ前大統領とは違うことをやってみせる」ということを内外にアピールするために、あえて強硬路線をとっているような印象をうけます。これまでの北朝鮮に対する政策をどのように評価しますか。

ナイ トランプ大統領の対北朝鮮政策は、オバマ前大統領の政策と比べてもそれほど違いがないように思います。トランプ大統領は「中国を通じて北朝鮮に圧力をかける」と繰り返し述べていますが、これはオバマ政権の戦略を踏襲しているものです。またニューヨークタイムズ紙によれば、「トランプ大統領は、オバマ政権のときに始まったミサイル発射妨害工作(サイバー攻撃によって発射前に妨害すること)をそのまま受け継いだ」そうです。

 トランプ大統領は、口先では北朝鮮に対して攻撃的な姿勢を見せていますが、その強硬路線がそのまま政策に反映されるとは言い切れないと思います。

佐藤 オバマ前大統領が北朝鮮に対して強硬な外交政策をとったのはどんなときでしょうか。