業績悪化で大リストラでも
日本人社員だけは贅沢三昧

 そんな工場に王芳さん(仮名)が就職したのは2000年のこと。大学を卒業し、松下に就職した時には、周囲の同世代から羨望のまなざしを注がれていたという。

 しかし、王さんの自慢だった工場はここ数年、収益が下がり続け、従業員の士気も落ちて、彼女を困惑させている。

「今、工場内で皆が気にかけているのは、工場がいつ閉鎖されるのかということ。上から下まで全員がその日暮らしです」と王さんは嘆く。

 以前、この工場で数年働いたことのある劉華さん(仮名)は次のように述べている。

「当時、松下の工場は『ハイテクパーク』に最初に入居した企業の一つでした。それが今は製薬企業ばかりです。従来の家電メーカーは、すでにハイテクではなくなってしまいました」

 以前、この工場のエアコンや冷蔵庫などの生産量は、年間約400万台だった。それが昨年は270万台程度にまで落ち込んでいる。従業員も2012年以降、400~500人減少している。

「一番多いときは2000人以上いましたが、辞める人が相次ぎました。しかも、生産ラインの組立工のほか、事務などの部署で離職者が出ても、会社側は新たに募集をしていません。経営層が、従業員数を引き続き圧縮したいと考えているからです」

 北京中怡康時代市場研究有限公司(CMM)による、14年の「中国家電小売市場モニタリング報告」によれば、松下の苦境がはっきりと現れている。

 14年、松下のエアコンの市場シェアはわずか1.16%、前年同期比で0.35ポイント減となった。洗濯機のシェアは6.34%で、やはり0.61ポイント減、冷蔵庫もマイナス0.06ポイントとなるなど、中国における松下はまさに下落の一途をたどる窮地に追い込まれているのだ。