第三次ブーム真っただ中のAI
本当に人間を支配するほど発達するか

 人工知能学会は2017年5月23日から26日までの4日間、JR名古屋駅近くの愛知県産業労働センター『ウインクあいち』で第31回全国大会を開催した。

人工知能学会の会長、山田誠二氏が講演 Photo by Kenji Momota

 大会の冒頭、人工知能学会の会長で国立情報学研究所・教授の山田誠二氏が基調講演を行った。

 その中で、まずは最近のAIブームについて触れ、「本学会としては、クールに冷めた目で見ている」と述べた。こうした姿勢は、昨年北九州市で開催された第30回全国大会での前会長の講演内容と同じだ。

 また、論文の発表件数で見ると、過去20年ほどで3倍になっており、これはAI研究者の数が増えていることだと指摘。一方で学会の会員数は、第二次AIブームと呼ばれた90年代初頭の後から減少。1993年から2012年までの『AI冬の時代』の後、2013年から急激なV字回復となっており、「いまは第三次ブームの真っただ中にいる」(山田氏)という見解を示した。

山田氏の講演資料。インタラクティブなAIを説明する図表 拡大画像表示

 こうした時代背景を説明した後、講演の主題である『インタラクティブなAI』について話を始めた。

 ここでいうインタラクティブとは、人とAIが相互に補完し合うことを指す。

 インタラクティブなAIが必要な理由として、(1)AIは、は単なるプログラムであるため、プログラムを作る人のコントロール下にある。(2)AIは、擬人化されることが多いが、生物的なものではない。という前提の上でAIと人の知的能力を比較すると、結果的に人とAIが相互に補完することが最も高いパフォーマンスを生むという。