「これから真のゴールドラッシュが来る。借金を増やさずにお金を集めて投資する」と孫社長は決算会見でファンドの意義を強調した Tomohiro Ohsumi/getty Images

 孫正義社長の次なる狙いは人工知能(AI)用の半導体か──。

 ソフトバンクグループは20日、10兆円規模の投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を設立したと発表した。

 サウジアラビアとアラブ首長国連邦の政府系ファンドに加え、米アップルや米半導体大手クアルコム、台湾の鴻海精密工業とその子会社のシャープといったそうそうたるメンバーが集う同ファンド。調達額は930億ドル(約10兆4000億円)に上り、今後6ヵ月で1000億ドルまで増やすという。

 巨大ファンドの誕生で注目が集まるのがその投資先だ。そして、ファンドの資料には、孫社長の半導体戦略の“二の矢”を思わせる驚きの企業名が記されていた。

 本ファンドは、ソフトバンクグループの投資で取得済みの株式や今後取得予定の株式の一部を取得する権利を保有しています──。

 ファンドの資料には、この記述と共に、ソフトバンクがこれまでに買収・出資してきた企業名が書かれている。そして、半導体大手の英ARMなどの名前に加えて、ある大手半導体企業の名前が登場したのだ。米エヌビディアである。

AI関連企業から引く手あまた

 エヌビディアは1993年に創業した半導体メーカーで、得意とするのは「GPU」と呼ばれる画像処理向けの半導体。パソコンやゲーム機などに使われ、最近では任天堂の新型ゲーム機「ニンテンドースイッチ」に採用されている。

 GPUの特徴は、画像処理などの作業に特化して同時並行で処理することで、処理速度を大幅に上げられる点である。