長年、新築偏重が続いていた日本の建設・不動産業界。しかし、国の政策転換もあり、近年、中古市場は急速な拡大を続け業界は、大きな転換期を迎えている。そこで、設計・施工・物件情報サービスという業界内の異なる立場の3人に、中古市場のこれからと、魅力的な住宅づくりについて話を聞いた。

【座談会参加者】
大塚正彦/建築設計事務所経営
(カイエ代表取締役)
田原宗/施工会社役員(青 取締役)
井端純一/物件情報サービス会社経営(ホームアドバイザー代表取締役社長)
※プロフィール詳細は文中

日本の中古文化は
まだ発展途上

井端 これからは中古の時代だとさかんに言われ、実際、中古市場は急成長しています。しかし、住宅購入といえば中古が当たり前の欧米と比べれば、日本はまだまだ。欧米並みに“中古文化”が浸透するには、いくつか大きなことが欠けているように思うのです。

大塚正彦 カイエ代表取締役 京都工芸繊維大学工学部住環境学科卒。大手ハウスメーカーで商品企画・技術開発に携わった後、一級建築士事務所正屋デザインシステマ設立。多数の都市狭小住宅設計を手がける。2006年8月、カイエ設立。新築やリフォームを問わず住まいのトータルプロデュースをテーマに活動を開始。「大改造!!劇的ビフォーアフター」(テレビ朝日系列)はじめ多くのメディアにも出演。

大塚 井端さんは、「日本は住宅購入にかかる税負担が大きすぎる。家は生活の基礎財なのだから、生活必需品である食料品などとともに非課税にすべき」、と多様なメディアで主張しておられますね。私もまったく同感です。家は人生最大の買い物であり、買うのは一生に一度か二度。なのに皆さん、家に縛られすぎています。住宅購入にかかる税負担が欧米並みに下がれば、日本人の家との付き合いかたも変わるでしょう。

田原 今の日本では、「家にしばられないライフスタイル=賃貸」と、なってしまいます。そこから脱出して家を買った人にとって、家はすごく大事なもののはずなのに、大切に手入れする人と、そうでない人とで、あまりに差がありすぎます。特に建売分譲の家を買った人に、買ったらその後、何もしないという人が多いようです。

井端 建売分譲は、家の在り方が画一的ですね。自分で考えて建てたわけではないから、思い入れがないのでしょう。しかし元をただせば、壊れたり傷んだりしたら、ていねいに直して使い続けるというのが日本の文化でした。

田原 新築は高い、中古を買って安上がりに住むためにリフォームをする、という先入観が、まだ多くの人にあると思います。しかし、本当はリフォームのほうが安いとは限らないのですよ。工事していると建物の劣化が進んでいて、「建て替えたほうが安いのに」と思うこともあります。

大塚 同じ部分だけで考えれば、直すより新しいモノに替えたほうが安いことも多い。これは現在のリフォームが抱える大きな問題です。それでも、トータルのコストなら、ほとんどの場合は、リフォームのほうが安い。今後ますます浸透していくでしょう。