健康保険の高額療養費は、患者が病院や診療所で支払う自己負担に上限を設けることで、医療費が家計に過度な負担にならないように配慮した制度だ。
高額療養費を利用すれば、1ヵ月の医療費が100万円かかっても、一般的な所得(年収370万~770万円)の人が自己負担するのは9万円程度でよくなる。この制度のおかげで家計の負担はかなり抑えられるが、高額療養費にはさらに「世帯合算」というオプションもある。
世帯合算は、同一の健康保険組合に加入している家族の医療費を合算して、高額療養費を申請できる制度で、病気やケガをした家族が複数いるなどで、世帯の医療費が高額になった場合でも家計の負担を抑えられるようにしたものだ。
ただし、利用にはいくつかの条件があり、年齢によっても計算方法が異なる。今回は高額療養費を世帯合算するときのルールを確認しておこう。
ひとつの医療機関への自己負担額が
2万1000円を超えたら合算対象
原則的に、高額療養費は次の5つのルールで計算することになっている。
◆高額療養費の計算ルール
・受診した人ごと(患者ひとりずつ個人単位)
・1ヵ月ごと(その月の1日~末日までの歴月単位)
・1医療機関ごと(大学病院などで複数の診療科にかかっている場合も、医療機関ごとにまとめて計算する。調剤薬局での支払いは、処方せんを発行した医療機関の自己負担額と合算できる)
・医科ごと、歯科ごと(大学病院などで医科と歯科の両方がある医療機関を利用した場合は別々に計算する)
・入院ごと、通院ごと(ひとつの医療機関で、入院と通院の両方をした場合は別々に計算する)