不得手とされる“丸の外”に向かう巨額投資

 そして、この三菱地所の巨額投資が向かう先は“丸の外”だ。

「新中計の投資計画は、丸の内を継続してやりつつも、丸の外を主に攻めていくということ」と、野村證券の福島大輔アナリストは指摘する。

 新中計の投資額1兆3500億円のうち、丸の内への投資額は、27年度の完成を目指す高さ約390メートルの高層ビルに代表される常盤橋街区再開発プロジェクトを含めて、約2500億円にとどまる。これは前回の中計とほぼ同額。残る1兆円強の大半は、4000億円を投じる北米やアジアなどでの海外事業や、物流施設などの生活産業不動産事業など、丸の外へ向かう計算だ。

 三菱地所が丸の外攻めに躍起となっている背景には、吉田社長が懸念するように、丸の内に閉じこもって新たな成長ドライバーを見つけられなければ、早晩、成長が鈍化しかねないという焦りがにじみ出ている。

 その象徴となっているのが、三菱地所が初めて設けた全社横断の投資枠「ビジネスモデル革新」投資だ。1000億円と金額そのものは小さく、具体的な使い道は未定とされているものの、地方空港の運営や統合型リゾート(IR)などが挙がっている。

 丸の外への攻勢を鮮明にする三菱地所だが、一方で市場関係者からは「この攻めの投資戦略が成功するかどうかは不透明」という声も漏れる。

 その理由の一つが、「三菱地所は丸の外が苦手」という悪評だ。典型は、三菱地所の丸の外の代表的存在、横浜ランドマークタワー。15年3月期、収益低下により460億円の特別損失を計上した。

 また、有利子負債も17年3月期に2兆3970億円と大きく膨らんだ。長期にわたる開発を手掛ける不動産デベロッパーは、多額の負債が常態となるビジネスモデルであるため、危険水域ではない。それでも有利子負債依存度は17年3月期で43.7%まで上昇し、15年3月期以降、三井不動産を上回っている。

 丸の外への挑戦が成功して一皮むけるのか、それとも負債をただ増やして終わるのか、新中計の成否に懸かっている。