企業財務コンサルタントの田中慎一氏は「外食産業では黄金比率がある」と指摘。原価である食材費が30%、人件費が30%、家賃や他の経費が30%で、残りの10%が利益となるように励む。特に、この比率の中で重要なのは、原価率と人件費をいかに膨らませないようにコントロールするかだ。

 ところが、である。いきなり!ステーキの原価率は破格のおよそ55%。1000円のメニューなら、そのうち550円が原価になる計算だ。同社の業態から考えれば、原価とは肉の価格だ。

 客が喜びそうなこだわりの材料を使おうと思えば、仕入れの価格が上がり原価率は簡単に高くなってしまう。同時に、その分もうけは少なくなる。このジレンマに多くの外食企業が悩み、業界で原価率が大事といわれているのだ。

 では、ペッパーフードサービスはその悩みをどう解決したのだろうか。その答えは、いきなり!ステーキの店内をのぞいてみれば、一目瞭然だ。立ち食い故に客が長居しないのである(現在は椅子席も導入しているが長居できるタイプの椅子ではない)。

 1人当たりの利益の幅は薄くとも、長居させず客の回転を高めることで、多くの客に来てもらおうという戦略なのだ。

 この考え方では、「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」で有名な俺の株式会社が先駆者だ。フレンチの原価率をやはり60%以上と高くする一方、立ち食いとすることで客の頻繁な入れ替えを実現したのだ。例えば、ランチの時間帯を通して一つのテーブルを一つのグループしか使わないのに比べ、同じ時間帯にそのテーブルを2~3グループが利用すれば、利益率は低くとも利益の総額は増える。

 立ち食いといえばそばが思い浮かぶが、それを高級なメニューの業態でやってしまったところに、俺のフレンチやいきなり!ステーキの新しさがあるのだ。

 実際に、いきなり!ステーキの総資産回転率を見てみると、他社に比べてかなり高い。