帰り道にあるので思わず立ち寄ってしまう中華料理店の日高屋。派手さこそないものの、外食業界随一を誇る収益力の高さは、アルコール販売と出店戦略に支えられていた。(「週刊ダイヤモンド」編集部 須賀彩子)
東京都内の学生街にある「熱烈中華食堂 日高屋」。平日の夜8時すぎの店内は、グループで飲む学生や1人でラーメンをすするサラリーマンなどでにぎわう。外には、入店待ちするグループもいる盛況ぶりだ。
人気の秘密は、帰宅前にご飯を食べながら「ちょっと一杯」、ビールを飲んでも割安なこと。平均客単価は670~680円だが、ラーメン、ギョーザにビールを1杯付けても910円というお手軽さが受けているのだ。
昨今の“ちょい飲み”ブームも手伝って、全メニューの売上高に占めるアルコール飲料の比率は14.5%に上る。同業の中華料理チェーンは4~5%台であるから、いかに高いかがうかがえよう。
面白いのは、「料理は10人中6人がおいしいと言ってくれればいい」という力の抜き加減。熱烈なファンの獲得を狙うのではなく、万人受けする味とメニューを追求し、「飽きがこない」店を目指しているというのだ。
こうした風変わりな戦略を採っているハイデイ日高の業績は、外食業界随一である。2014年度の売上高営業利益率は11.8%。中華の同業他社は3~8%程度、牛丼チェーンは1~3%程度であるから、ずばぬけて高い。
加えて、持続的な成長ぶりにも目を見張るものがある。営業利益は12期連続、当期純利益は10期連続で増益を達成。既存店売上高は4年連続で前年度比100%を超えているほどだ。
好業績を支えているのは、価格やメニューだけではない。出店戦略にも秘密がある。
他の中華チェーンがロードサイド中心であるのに対して、日高屋は駅前立地が主体である。ロードサイドでは、車で来店する客が多いため、あまりアルコール販売を見込めない。
「30年前に参入したときは後発だったため、駅前に出店するほかなかった」(ハイデイ日高)というが、これが逆に同社の発展を支えることになったわけだ。
とはいえ駅前立地で、しかもビルの1階に展開しているため家賃は当然高い。そのぶん、午前11時から早朝4時までという長時間にわたって営業することでカバーしている。
こうした店舗形態と運営で、他チェーンを圧倒。14年度の1店舗当たりの月間売上高は、幸楽苑の610万円に対し、日高屋は819万円に上っている。