テレビなどに登場し話題になっている経産省の現役官僚の古賀茂明さん。私の旧知の人だ。経産事務次官から「肩たたき」(勧奨退職)を受けている。辞めろといわれたのだが、その期限は7月15 日だ。

 公務員を簡単に辞めさせることができるのかどうか。実はこの点に、古賀さんがやってきた公務員制度改革のポイントがある。

霞ヶ関の役人には
みんな出身省の背番号がある

 古賀さんと私のつながりは、かなり前の公務員改革にさかのぼる。公務員改革の必要性は叫ばれていたものの、歴代内閣は当面の仕事を優先して、なかなか手をつけなかった。公務員改革に本格的に着手したのは安倍政権だ。私は郵政民営化・政策金融改革そのほかを小泉政権で担当していたが、安倍晋三元総理からの要請で安倍政権に残った。

 実は、私は小泉政権での政治任用(竹中平蔵総務大臣補佐官)だったので、小泉政権の終わりとともに退職する予定だった。簡単に政治任用と書いたが、制度としては曖昧なので若干説明を要する。

 霞ヶ関の役人にはみんな出身省の背番号があり、例えば官邸に出向しても、みんな各省の背番号を背負っている。その好例が、部内の座席表だ。座席の氏名の上に、○○省△△年と出身省と入省年次が記載されている。官邸での任務が終わると、それぞれ出身省に戻される。これが普通の任用だ。

 しかし、政治任用では、事実上、霞ヶ関の背番号をとって、出身省に戻らない。だから、その政権が終われば退職するのだ。もっとも、今の制度では政治任用も普通の任用も明確な違いはなく、そこは本人の自覚次第である。

 小泉政権の時に、政策金融改革で各省事務次官の天下り先であった各省の政策金融機関を1本化したために、出身省の財務省はカンカンに怒っていた。私も政治任用という自覚があったので、天下りあっせんを受けたい気持ちもなく、自分で探した某大学のポストに内定していた。そこに安倍さんからの要請があったので、そのまま安倍政権に残ったわけだ。