「4時間でMT習得?それ無理だろ…」運転免許の取得方法変更に不安しかないワケPhoto:PIXTA

この4月から自動車教習所のカリキュラムが変更になり、普通免許の教習は「AT限定」が基本になったのをご存じでしょうか?それではMTを取りたい人はどうすればいいのか。そもそも制度を変更した狙いとは? 何十万円もする教習費用を見直すことなく、道路の安全を脅かしかねない事態には、首をかしげざるを得ません…。(モータージャーナリスト/安全運転インストラクター 諸星陽一)

すごく心配!わずか4時限の教習で
MT車の運転はできるのか

 今までは教習所(指定自動車教習所、いわゆる公認教習所のこと)に入所する際、オートマ車(AT)限定免許にするか、限定無しでマニュアル車(MT)も運転できる免許にするか、教習コースを選びました。しかし4月以降はMT免許希望者でも、まずAT限定免許を取得し、その後、MTが運転できるように限定解除の教習を受けます。

 この方式は強制ではありませんが、多くの教習所が新方式に切り替えると予想されています。MTの免許が取りやすくなると言われる一方で、MTの運転ができる人は減るだろうと予想されています。

 なぜ制度が変更されたのでしょうか? 日本国内を走るクルマのほとんどがAT車となり、免許取得者も多くがAT限定免許を選んでいる社会情勢に合わせての変更だ、と言われています。もちろん、そうした背景もあるでしょう。

 ただ、それ以上に「教習所への抵抗感を減らすこと」も目的になっています。つまり実は、「若者のクルマ離れ」「運転免許離れ」対策の一環でもあるのです(詳細は後述)。

 従来、MT免許取得者は入所時からMTで教習を受けていました。しかし今後はAT免許の教習を31時限受けた後、MT教習を4時限受けることでAT限定を解除します。とりあえずATでクルマの運転を覚え、その後にMTの操作方法を覚える流れです。