
米国や英国とは形は違えど、日本政府にも「政治任用」で抜擢される国家公務員はいる。内部からの登用のみならず、外部人材の活用も含め、どのような改革を行えば政府の政策立案能力を維持することができるのだろうか。特集『公務員の危機』の#22では、国内外の行政組織、官僚制に精通している吉牟田剛・大阪大学招聘教授が、日本の中央省庁における外部人材の活用も含めた組織の活性化について現状を解説し、改善に向けた対策を提案する。
国家公務員の初任給の賃上げだけでなく
幹部職員の待遇改善が必要だ
米国政府における政治任用とは、選挙で選ばれた大統領が、自分が公約した政策を実行するために外部人材を自由に任用できる仕組みである(詳細は本特集#12『大統領がベスト&ブライテストを動員する米政府の「政治任用」制度を専門家が徹底解説!独自のエリート養成システムの中身』参照)。
英国の政治任用は、確立した職業公務員とは別に、職業公務員では対応が十分でないとされる分野について助言を行う特別顧問制度であった(詳細は本特集の#21『英国が、米国との関税交渉でいち早く合意できた裏に、両首脳の最側近同士による早期の交渉あり!英スターマー労働党政権は米民主党と友党関係なのになぜ?』参照)。
日本の公務員は、「狭義の政治任用」と「広義の政治任用」とに分けて論じられることが多い。
次ページでは、まず特別職を説明しつつ、その一部である狭義・広義の政治任用職について解説。その後、政治任用を含む、人材の活用方法について、英国、米国から得られる教訓も踏まえ、必要な視点を提言してもらう。