英国のブックメーカー(賭け業者)は、何でも賭けの対象にしてしまう。それも気が早い。英国の総選挙は6月8日に終わったばかりだが、政治関連の新たな賭けが多数提示されている(以下、オッズは日本式の倍率で表記)。
英ラドブロークスは、テリーザ・メイ首相が年内に退任するオッズを2.8倍とする。アイルランドのパディパワー・ベットフェアは、総選挙が年内に再び行われるオッズを3倍、次期首相について、ボリス・ジョンソン外務大臣を3.5倍、ジェレミー・コービン労働党党首を3.5倍、デイビッド・デイビス欧州連合(EU)離脱担当大臣を5倍としている。
先日の総選挙で与党・保守党の議席は過半数を割った。5月前半までの圧倒的優位が慢心を招き、戦略ミスを相次いで犯してしまった。その間隙を突いて、大学授業料の無料化などの政策を掲げた労働党が若い世代の支持を集めた。
保守党は地域政党の民主統一党(DUP)と閣外協力を組んで過半数を維持する算段だが、危うさが潜んでいる。DUPには激しい政治信条を持つ議員が多く、妊娠中絶や同性婚にも反対している。
英大衆紙「サン」によると、保守党には同性愛の議員が13人おり、彼らがDUPとの協力関係に怒り始めたら、メイ首相は困ったことになるという。DUPの議員数は10人なので、その議員13人が離党すると騒ぎ始めたら、ジレンマに陥ることになるからだ。