「どこで誰が何を話したか、政権批判のような過激なことを言えば、すぐに伝わっている。官房長官は毎朝、新聞各紙を読んだ後、必ず集められた情報メモに目を通す。そんな話がまことしやかに言われているから、恐ろしくて何も言えない」とある省庁の幹部は言う。

 最近でも、外務省の釜山総領事が突然、交代になったのは、帰国中に会合をした時のメモが流出し、その時の「政権批判」が逆鱗に触れたといわれている。

成長戦略で経産省の一人勝ち
増税先送りで地盤沈下の財務省

 予算配分や税制改正で、与党や政治家と渡り合い、もまれながら政治の過剰な介入を抑える役割を担ってきた財務省の“地盤沈下”も、対官邸に対する霞が関全体の力関係に影を落とす。

 経済政策では、これまで財務省と経済産業省が連携したり、時に対立したりしながら主導してきたが、安倍政権では成長戦略をかつぐ経済産業省が官邸を支える最有力官庁として前に出て、財務省は後ろに置かれている形だ。

「アベノミクスで、第三の矢(成長戦略)が弱いとの批判を受けた時に、経産省が官邸に持ち込んだのが法人税減税だった。逆に財務省は、消費税増税を主張して、先送りされ一敗地にまみれた。財務省が抑え込まれたのは衝撃だったし、どこの省庁も、官邸と一体となった経産省の一人勝ちの状況を見ている。だから、官邸に逆らうことはなんのプラスにもならないと、みんな分かっている」と、ある省の幹部は言う。

 官邸で菅官房長官とともに差配するのは、第1次安倍政権の首相秘書官を務めて以来、首相の最側近にいる経産省出身の今井尚哉政務秘書官だ。

 消費増税先送りやアベノミクスが、企業や富裕層重視との批判を受けると、介護職員の処遇改善などの「一億総活躍社会」や「働き方改革」を持ち出し、主導したのも今井秘書官だ。