一億総活躍社会なども、通常は財源の目途などを財務省などと事前に調整するのだが、根回しや折衝はなく、頭越しに進められた。この今井氏につながる経産官僚のネットワークが、加計問題では文科省に「総理の意向」を伝えたとされる内閣府の審議官であり、「森友学園問題」では、国有地売却で近畿財務局と折衝した「首相夫人付き」だ。

「政務の総理秘書官は側近中の側近。首相夫人の担当でもある。いつも一緒にいるから総理の意向は分かっているし、そうなるようにするのが仕事。総理と一心同体だ。加計の場合は、ルートはいくつかあると思うが、総理秘書官らを中心にいわば官邸主導で動き、内閣府などが従った可能性が高い」。総理秘書官の経験のある元官僚は話す。

力関係は「政」に大きく傾く
「一強体制」首相の強弁

 もとはといえば、「政治主導」「官邸主導」は、戦後の「官僚主導」の行き過ぎや限界が露呈する中で取り組まれてきた。「政」と「官」が拮抗し、緊張関係が維持されることで公正な行政も期待できたが、力関係が「政」に大きく偏る中で、霞が関は「巨大な忖度機関」へと堕落してしまったのだ。

 霞が関や官僚OBの中に、前川・前次官の「告発」には批判がないわけではない。

「(加計学園への認可は)おかしいと思ったなら、辞めた後でなく、なぜ次官の時に反対しなかったのか。少なくとも大臣に上げて、(大臣が動かなかったら)戦うべきだった」といった批判が典型だろう。

 どの省庁も、時には族議員を予算獲得や法改正などの応援団に使いながらも、それでも政治の圧力や利益誘導に対しては抵抗し、省庁間で対立しても党や官邸に持ち込むのではなく、霞が関の中で着地点を見つける苦労をしてきたという思いがあるからだ。

 だが、かつてない「1強体制」「官邸支配」のもとでそれができたのかどうか。

「総理は(加計の問題で)異論があれば、(前川)次官が官邸に来た時になぜ言わなかったのか不思議だと言っているが、言えるわけがない。それを分かっていて強弁している」。ある官僚は吐き捨てるように言う。

 何もかも霞が関が「忖度」してやったことにすれば、野党の追及から逃げ切れるし、忖度した役人は人事や天下り先で処遇してやることで、口をつぐませることができる。縮こまる霞が関を尻目に、官邸や与党内部ではこんな幕引きのシナリオが語られている。