大企業で出世する
旧来型ロールモデルは崩壊

 誰でも知っている通り、これまでの社会は単純だった。

 一本のレールと経済の成長のスピードに合せて走る、たった一つの急行列車があるだけだった。それは「勉強し、大学に入り、大手企業に入り、昇進する」という道だ。多くの人が目指す、平均的な道のりだった。

 日本人の人生とは、その列車に乗りこんで皆とともに年齢を重ねてゆくことだった。今でもそう思っている人は多いだろう。そして、これまで一生懸命勉強も就活も頑張ってきたが、この急行列車に乗れずに振り落とされ、絶望し、人生が“詰んだ”と思って引きこもっている人だって少なからずいる。

 ところがちょっと待って欲しい。

 みんなうすうす感じていると思うけど、現代において、『高校・大学を出て大手企業の課長になる』という「日本の平均的サラリーマン」は、100人のうち3人もいない。つまりサラリーマンとして出世をめざす人がマジョリティの時代は、実はとうの昔に終わっているのだ(下図)。

資料: 文部科学省学校基本調査報告書(平成21年)、文部科学省 児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査(平成21年)、OECD Education at a Glance (2008)、ワークス大卒求人倍率調査(2011年卒)、厚生労働省賃金構造基本統計調査(平成21年)


  “課長 島耕作”はもう僕たちのロールモデルにはならない。

 だとしたらもう、朝の満員電車のようなすし詰めの最終列車に乗り込もうと焦るのは諦めたらどうか?この急行列車はいつのまにか低成長の各駅停車になっているし、その先に本当に幸福な終着駅があるかも見えない。

 脱線事故を起こす可能性だってある。

 日本の自殺率は高いことで有名だが、今でいう“社畜”として一生懸命働いてきた世代が「豊か」になったとはいえ「幸せ」になったとは言い切れない(幸せと豊かさについては第2回で執筆予定)。

 だから一旦立ち止まって、次の列車を待ってみたらどうだろう?