ただし「ポジションを取らない
=何もしなくてよい」わけではない

 とはいえ、あえてポジションを取らないからといって、何もしないということではない。

 世間では色々なことが言われている。英語を学び世界に打って出てゆくこと、手に職をつけ資格を取ること。それらは確かに大事だけれど、アプリケーションにすぎない。

 より重要なのは、人生のOS(オペレーティングシステム)をじっくりと構築しておくことだ。21世における人生のOSとは、『信用を養い、紐帯(ネットワーク)を紡ぎ上げる』ということである。

 このコラムで追々書いていくが、「信用」こそが21世紀の通貨である。お金とは結局のところ信用を数値化した記号に過ぎない。現在のように、お金が粗造濫用されている時代には、積むべきは信用であって、札束ではなくなる。自分個人が「信用創造」できることが最大の資産になる。

 だからまずは信用について考え、それを養うことに時間と労力を費やすことだ。

 加えて信用の土台の上に、紐帯(ネットワーク)を築き上げておくのも、この時期とても重要だ。今起こっているソーシャルネットワークの本質も、実は「つながる」ことにはない。その本質は、「個人の信用と価値観が可視化され計測される」ということにあるのだ。それが次の世界の土台となる

 僕たちは新しい時代を迎えようとしている。それはまだくっきりとした輪郭を表してはいない。ただわかっていることは、貨幣の力や組織の力学が働かないということだけだ。

 だとしたら、今、僕達がするべきは、自らの信用を養い、関係を構築することしかないだろう。

 このコラムで次回から、将来のために真に必要とされるリテラシーを取り上げていく。


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