「意識が高い」だけでは生き残れない
とはいえ、日本においても、多くのビジネスパーソンが自らのスキルや経験に対して危機感を持っていることも確かです。その一つの証拠として、日本の書店にはビジネススキルを磨くための本が溢れています。社会人向けの大学院やセミナーもずいぶん増えてきました。
ますます厳しくなる日本経済において先の見えない状況が続いています。そんななか、「せめて自分は、どんな環境でも生き残れるようになりたい」という意識を持ち、ひたすらビジネススキルを磨くことを志向する人が増えてきているように感じます。
しかしその一方で、「意識が高い」ことが必ずしも成果に結びついていないと感じる人も多いのではないでしょうか。表面的にさまざまなノウハウを身につけたものの「実践でどのように役立てればいいのかわからない」というケースも多いでしょう。
『新・独学術』は、そうしたビジネスパーソンがビジネスに役に立つ知識と論理を磨くにはどうすればよいだろうか、という問題意識から出発しています。
そして、私たちビジネスパーソンが「どのような知識やスキルを磨くべきか」はもちろん、「どういう方法で身につけ、どのように現場で生かしていくのか」まで含めて解説していきます。付け焼き刃的なビジネススキルの向上ではなく、本質的にビジネスに役立つブートトレーニングの方法を提唱します。
これまではビジネスパーソンがスキルを学ぶには、ビジネス書や技術書をひたすら読むというのが一般的なやり方でした。本書では、独学の具体的なやり方をビジネスの実例を踏まえて詳しく解説しています。その意味で新しい独学術の本といえます。
使うのは、大学受験用の参考書です(以下、本書では特段区別していない限り、問題集も含めて「参考書」と表記します)。「ビジネススキルを磨くのに、なぜいまさら受験参考書を使うのか」と疑問を感じる人もいるかもしれませんが、受験参考書ほど効率よく、ビジネスに必要な学びを得られるツールはないと私は確信しています。
(本原稿は、侍留啓介著『新独学術 外資系コンサルの世界で磨き抜いた合理的方法』より抜粋・編集して掲載しています)