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シリコンバレーで考える 安藤茂彌

シリコンバレーではインターネットバブルがすでに始まっている

安藤茂彌 [トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学特任教授]
【第47回】 2011年7月28日
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 プロ集団が大儲けをした反面、大損をしたのは素人の一般投資家だった。彼らのなかには1日に何回も上場直後のベンチャー株式を売買するデイトレーダー(Day trader)と呼ばれる集団がいた。上場直後には株価が乱高下するので、ごく短期間に大きな利益を上げることもできるからだ。だが、「まだ上がるだろう」と言う期待感で売り遅れると大きな損失をこうむる。自宅を抵当に借り入れして投資額を膨らませていったデイトレーダーは悲劇だった。

 今回の上場ブームにもデイトレーダーが参加していると考えられる。5月に上場したlinkedInの株価は公開日当日に上場価格の2倍の価格をつけてその後大きく下げた。こうした乱高下はデイトレーダーの参加がなくては起きない現象である。

 当地の不動産売買にもバブル現象が起きている。筆者の住む隣町のPalo Altoではこの4月に190万ドル(約2億3000万円)で戸建ての不動産を売却しよう競売にだしたところ、270万ドル(約3億3000万円)で落札された。しかも全額現金での支払いだった。売値以上の価格で落札するのは前回のバブル当時と同じ現象である。

 今の現象はインターネットバブルの再燃か?米国のジャーナリズムもバブルと断定しているのは少ない。だが、筆者の実感として「バブルはすでに起こっている」。その証拠にインサイダーのVCはバブル破裂を前提に投資利益の確定に走っているではないか。思わぬ大金を手にしたベンチャー企業の社員が不動産を提示された価格以上で買おうとしているではないか。これがバブルでないとしたら何なのか。

 バブルとは特異な現象である。バブルの真っ最中には、「これで自分も大金持ちになれるかもしれない」「日々の生活にあくせくしなくて済む」とひたすら幸福感(Euphoria)に包まれる。誰も「これがバブルだ」とは思わない。バブルが破裂して「あれがバブルだった」と振り返る。人間の心理は昔から変わっていない。本誌の読者には一足早く届けよう。「シリコンバレーではもうバブルが始まっている」。

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安藤茂彌
[トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学特任教授]

1945年東京生まれ。東京大学法学部卒業後、三菱銀行入行。マサチューセッツ工科大学経営学大学院修士号取得。96年、横浜支店長を最後に同行を退職し渡米。シリコンバレーにてトランス・パシフィック・ベンチャーズ社を設立。米国ベンチャービジネスの最新情報を日本企業に提供するサービス「VentureAccess」を行っている。VentureAccessホームページ

シリコンバレーで考える 安藤茂彌

シリコンバレーで日本企業向けに米国ハイテクベンチャー情報を提供するビジネスを行なう日々の中で、「日本の変革」「アメリカ文化」など幅広いテーマについて考察する。

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