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大手独占の家庭用洗剤市場に異変!
米国人に受けたメソッド社の楽しいエコ感覚

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第156回】 2011年8月4日
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 ところで、「楽しく」というのは、地球環境に良いことを、教育的かつ禁欲的にやるのではなく、もっと楽しめる方法でやろうということだ。

 たとえば、バスルーム用洗剤は明るい空色の液体で、ユーカリとミントの匂いがする。使われている原料は、コーンシュガーやココナツオイルなど。また、ハンドソープには、グリーンティー、ラベンダー、ハイビスカス、ミント、ピンク・グレープフルーツ、無臭など10数種類あり、同じように自然原料が基本だ。

 部分的に合成原料が使われている場合もグリーンマテリアルが中心で、最大限人体に悪影響を与えないもの、不快な匂いのないもの、アレルギー症状が出ないものを求めている。これは、メソッド独自の手法である「パワーグリーン・テクノロジー」によって生み出されたものだという。自然原料の中から、最大限の分解力や洗浄力を引き出そうというわけだ。

 その他の洗濯洗剤、食器洗剤なども同様で、洗浄効果がありながら安心で、これまでのような「エコ製品は落ちが悪そう」といった偏見を覆す。しかも、いい匂いがする。「掃除しながらアロマセラピーができる」と言う熱狂的なファンも多い。価格は、大手メーカーのものより若干高めだが、エコ意識の高い若者を中心に売れている。

 メソッドは、2000年にサンフランシスコで創業した。幼いころに友達だったエリック・ライアンとアダム・ローリーが、偶然サンフランシスコで再会し、マーケティングの経験のあるライアンと、気候科学や再生素材の専門家として経験を積んだローリーが、新しいビジネスを話し合ううちに、同社を共同設立することになったのだという。

 最初は地元のスーパーで売り始め、その後デパートチェーンのターゲットで展開。一時は会社存続の危機にも陥ったが、現在はアメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアの三大陸で製品を販売するまでに成長した。現在の製品数は130以上、売り上げは1億ドルを超えている。2010年からは、日本にも出荷されている。

 超大手の牙城に挑むメソッドの挑戦は、よくダビデとゴリアテの戦いに喩えられる。もちろん、ゴリアテの反撃もありそうだ。家庭用洗剤市場のダビデの闘いはここからが正念場である。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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