2006年の第一次安倍政権発足から2012年の安倍政権の再登場までの間、福田康夫、麻生太郎、鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦と1年おきに内閣総辞職が繰り返された。いずれも急激な支持率低下を発端として、政権運営に窮した挙句の退陣だった。この過去の事例の数々をメディアも識者もよく覚えている。ゆえに、支持率が20%台に近づくことで、安倍政権の「危機」だと騒ぎ始めているのだろう。

 筆者も「安倍一強」と呼ばれてきた圧倒的な求心力に陰りが見え始めたことは否定しない。しかし、それが即、過去の事例のように退陣という流れになっているかというと、違うのではないだろうか。

 過去の「短命政権」は、衆参で多数派が異なる「ねじれ国会」に苦しめられていた。参院で野党が多数派を握り、政権は何も決められない姿を国民に晒し、支持率を失っていった。特に2009年までは、民主党(当時)による「政権交代」への期待も大きかった。

 一方、第二次安倍政権は2012年以降国政選挙で4連勝した。自公の連立与党に維新の党などを加えた「改憲勢力」が、衆参両院で3分の2を占めるまでになった。安倍首相が「悲願」とする「憲法改正」の国民投票を可能とする圧倒的な多数派を形成しているのだ。

 改憲勢力が国会の3分の2を占めることは、戦後初めてのことだ。「改憲勢力が3分の2を占めることを阻止する」とは、戦後日本の「革新勢力」にとって、死守すべき最低限のラインだった(2016.7.19付)。そのラインを初めて超えさせてしまった昨年7月の参院選は、民進党・共産党の「野党共闘」にとって史上最悪の大惨敗だった。

 要するに、2006年~12年の「短命政権」は、国会で野党が与党を追い詰めるだけの勢力を形成し、野党に対する期待も大きかった。それに対して現在は、安倍政権の支持率こそ急落し始めたが、野党は改憲勢力に3分の2の圧倒的多数派を許す最弱の状態であり、野党に対する期待も全くない。

憲法改正の安倍私案は
改憲の「政局」利用を封じた

 また、安倍政権が勝ち取っているのは国会の圧倒的多数だけではない。2018年12月の衆院議員の任期満了まで、国政選挙がないという時間的余裕がある。これは、選挙が繰り返されて重要法案が先送りされがちな日本政治において、極めて貴重な余裕である(2015.4.30付)。