加計問題に関してこれから始まる国会の閉会中審査は、やり方によっては自民党にとってむしろ起死回生のチャンスになるかもしれない

結論ありきで追及される加計問題
自民党を襲う「負のスパイラル」

 東京都議選で自民党は歴史的な大敗を喫し、気の早い一部メディアは安倍政権の危機を喧伝していますが、まだ40〜50%と高い支持率を維持しており、危機でも何でもありません(森政権の末期は10%を切っていた)。

 そうは言っても、おそらく安倍政権としてはそろそろ反転攻勢に出て、共謀罪法案、森友・加計学園、自民党議員の暴言と政治資金疑惑、都議選大敗と続いた負のスパイラルから脱したいはずです。

 そのためには、内閣改造で人心を一新することはもちろん有効ですが、負のスパイラルの最大の要因が加計学園問題であることを考えると、その真相を安倍政権、そして自民党の側から積極的に明らかにすることも不可欠です。

 その意味で、来週7月10日(月)に開催される加計学園問題についての国会の閉会中審査は、政権を追い詰めたい野党以上に安倍政権にとって非常に重要な機会なのです。
 
 加計学園問題の焦点は、なぜ特区での獣医学部新設を1校に限定したのか、どういう判断で京都産業大学ではなく加計学園が選ばれたのか、という2つの点に絞られた観があります。

 この問題追及の急先鋒である民進党は、党内PT(プロジェクトチーム)での議論の内容から明らかなように、その双方について安倍首相や萩生田副長官という“官邸の意向”が働いたからという結論ありきで質問や調査を行なっています。ただ、その結論は文科省から流出した内部文書と前川前文科次官の発言に基づくものに過ぎません。

 しかし、以前この連載でも書いた通り、まずなぜ1校に限定したかという論点については、私が調査した限り、自民党の族議員や日本獣医師会といった既得権益の側が関与していた可能性が高いのです。実際、文科省から流出した議事録の1つは文科省が日本獣医師会の関係者に説明に行った際のものです。