日銀の「出口戦略」は実はもう始まっている

 先日、FRBの本部を訪問し議論していた時に、米国の一連の利上げについて、彼らが何回も強調していたのは「正常化」だということであった。決して「引締めではない」ということである。

 金融政策を司る中央銀行は基本的に常に「正常化」したいという強い意思を持っている。それは、経済(景気)は波であり、再度、経済が悪化した時に、金利を下げて刺激できる余地をつくらなければならないからだ。米国では昨年9月から完全雇用の状態にあるとFRBのイエレン議長が認定し、さらにトランプノミクスで一段と成長率が伸びた。

 その結果、リーマンショックから回復したと認識され、危機対応で実施していた量的緩和(低金利)を行う必要がなくなり、実際、昨年12月から政策金利を上げ始めている。欧州でも「正常化」は進行しつつある。すでに、ECB(欧州中央銀行)のドラキ総裁は、量的緩和の転換を示唆している。

 金融政策の手法(操作)には「金利」と「資金量」の2つがある。米国FRBは伝統的に「金利」を使う。欧州ECBは、世界最強の中央銀行と言われたブンデスバンクの伝統を引き継ぎ「資金量」をメインに取り扱う。