7月上旬に九州北部を襲った豪雨災害。日本では、大きな自然災害が頻繁に発生する。その度に、災害現場に駆けつけて緊急の医療措置を行う災害医療チームがDMATであり、「過去の教訓」を生かして対応力を高めてきた。今回の九州北部豪雨では、どんな教訓を得たのか、首都圏で大災害が起きたらどんな問題が生じるのか。取材してみた。(医療ジャーナリスト 木原洋美)
近年「極めてまれ」が
毎年更新されている
7月上旬、九州北部を襲った豪雨は9時間あまりに渡って降り続き、結果、5日の1日だけでも各地で500mm以上、特に、朝倉市黒川地区の周辺では750㎜の雨量に達したという。
九州北部は12年7 月にも豪雨災害に見舞われているが、この時は、1時間に85ミリ(最大降雨強度108mm)を越える雨量が継続したのは 4 時間。1日あたりの雨量は493㎜で、今回と比べれば3分の2程度だが、それでも気象庁は、「これまでに経験したことのないような大雨」と発表した。
2014年8月に起きた広島豪雨災害の時も、同程度の雨が降り続いたが、その時間は2時間半程度だったということで、今回ほど長い時間、猛烈な雨が降り続いた例は「極めてまれな現象」と専門家は指摘している。
恐ろしいことに、「観測史上初」とか「これまでに経験したことのない」という気象現象はこの数年、毎年起きているのである。
もう日本全国、豪雨災害はどこでも起こる可能性があるし、その危険度も、年々高まっていると思って間違いないだろう。