自分を卑下してしまう日本人は多い。しかし、「自分なんかどうせダメだ」と思っていては、いつまで経っても成果を出すことはできない。ハードワークは、身体的努力と精神的努力が共存して、はじめて意味あるものになるのだ。

 精神的な準備ができていない選手に対しては、著者は容赦なくトレーニングから外した。自分をよりよくすることに100%の気持ちが向いていないうちは、どんなにトレーニングをしても無駄になる。荒療治とも思える手法をとることで、「今よりよくなろう」と思うことの重要さを示したのだ。

◆どう戦略を立てるか
◇「くりかえし」の効果は絶大

「ジャパン・ウェイ」を選手間に浸透させるために、著者はとにかくその重要性をくりかえし説いた。しかも、選手たちに直接言うだけでなかった。新聞や雑誌の取材を受けるたびに表現を変えながら、「ジャパン・ウェイ」の大切さを訴え続けたのである。

 選手たちは、自分たちのことが取り上げられた新聞や雑誌に目を通すものだ。すると、メディアを通して何度も何度も「ジャパン・ウェイ」の考え方に触れることになる。対面で同じことを何度も言われると、そのうち聞く気がしなくなるものだが、メディアを使って別の角度から伝えつづければ、そのメッセージは徐々に浸透していく。

 このようにして、選手たちのマインドセットに「ジャパン・ウェイ」が刻みこまれていったのである。

◇客観視すれば、進むべき方向がわかる

 スポーツでも、データを活用することは非常に重要だ。だが、データそれ自体はたんなる数字である。そこに解釈を与えることで、はじめて意味のあるものとなる。ゆえに、データを見るときは思いこみを排除し、客観視することが何より大切だ。

 とはいえ、人間はそのときの感情で物事を捉えてしまう生き物である。うまく客観視するためには、時間を置いてから記録を振り返るようにしなければならない。実際、著者は当日に試合を振り返ることはないという。翌日になっても、録画した試合をぼんやりと見るだけにとどめる。そして翌々日になってはじめて、データを照合しながら、本格的に試合の分析に取りかかるのである。

 客観的に分析したデータはけっして裏切らない。もし予想と大きく異なる状況になったとしたら、それは想定の仕方が間違っていただけである。