ラグビーW杯イングランド大会で日本代表が、強豪・南アフリカに大金星をあげただけでなく、体格で劣るサモアやアメリカにも勝利したことは記憶に新しい。その快挙の効果はてきめんで、代表選手が所属するトップリーグをはじめとするラグビーの試合に注目が集まるようになった。3年後にはW杯の日本開催も控えている。日本ラグビーのレベルをさらにアップし人気を定着させる絶好機といえ、実際に強化体制や選手を取り巻く環境の整備が急速に進められている。

 世界最高峰といわれる南半球の国際ラグビーリーグ戦「スーパーラグビー」への日本チーム(サンウルブス)の参戦が約1ヵ月後の2月27日に始まるのもそのひとつだが、それとは別に先週、あるプランが進んでいることが明らかになった。

 ラグビー選手会の発足である。これまで選手は、待遇や規則など協会が決めたものに従うしかなかった。選手会は選手から意見を聞き、改善すべき点があれば、それを協会に提言する組織だという。ただ、労働組合であるプロ野球選手会のように上(日本野球機構や球団)に対して待遇改善や地位向上の要求をする対立的な団体ではなく、選手側から出た問題点を、改善に向けて協会と友好的に話し合う団体。そのため協会側も設立には歓迎の意向を示しており、どのような組織にするか、ともに考えていくとしている。

ラグビー日本代表の
「日当」はなんと手取り2000円

 とはいえ設立の動機には「この待遇、ちょっとひどいんじゃないの?」という憤りがあったようだ。W杯で3勝という好結果を残した裏には、エディー・ジョーンズヘッドコーチに課せられた過酷な練習があったことはよく知られている。昨年4月から大会直前の8月まで10回にわたり計75日間に及ぶ合宿が行われた。この日当が3000円だったという。しかも、1000円を食事代として引かれ、1日あたりで手にした金額は2000円だったそうだ。

 W杯の代表選手はひとりの大学生を除き、トップリーグに参加する企業チームに所属している。一部のプロ契約の選手は1000万円から5000万円程度の年俸、大多数の社員選手は500万円前後の年収を得ており、日当を当てにしている者はいない。