アメリカのパーティーには300人の参加者
不倫や浮気の罪悪感がきっかけになることも

 恋愛の常識とは程遠い考え方だからこそ、一気にポリアモリーの実態に迫ると、こちらの理解が追いつかなくなりそうなもの。そこで、一旦その実態から離れ、ポリアモリーの成り立ち、この考えが広まった経緯を知りたい。

「ポリアモリーのムーヴメントが本格的に動き始めたのは、1990年代初頭のアメリカです。婚姻制度に縛られない、1対1ではなく、愛する人の人数を自分で決めたいという人たちが集まり、非営利団体を結成。やがて『ポリアモリー』という言葉が生まれました」(深海さん)

 彼らは決して、「一夫一婦制に反対しているわけではなく、一つの愛し方の形として認めてほしいという思いを持っていました」と深海氏は話す。

 とはいえ、90年代はまだポリアモリーの概念を知る人は少なかった。しかし、2000年以降は「アメリカを中心に世界で広まりつつある」という。アメリカにおいては、ポリアモリーのSNSコミュニティや、ポリアモリーの認知度を上げるための「ポリアモリー・メディア・アソシエーション」という機関もできたというから驚きだ。

 現地調査をたびたび行っている深海さんは、「アメリカのポリアモリーパーティでは、一度に300人ほどの人が来ることもある」という。

 ただし、あくまでアメリカでもこの考えは少数派で、決して理解する人が多いわけではない。「キリスト教徒も多く、神に背くとしてポリアモリーへの風当たりは非常に強い」という。

 では、日本はどうなのか。深海さんは「アメリカに比べて、日本ではまだ広まっていないのでは」と考えている。実際、インターネットなどで調べても、日本でポリアモリーを名乗ったり、集会などを開いたりしているグループは数えるほど。また、筆者周辺の人に話を聞いても、ポリアモリーという言葉を知っている人はほとんどいなかった。

 それにしても、「合意の上で複数の人を愛する」といえば聞こえはいいが、それは結局、浮気や不倫をしたい人、浮気や不倫を我慢できない人の“開き直り”にすぎないのではないか。

 そんな疑問をぶつけると、深海さんはこう答えた。