彼女がポリアモリーという言葉を知ったのは、18歳の頃。3人の人を好きになったことに悩んだ時期だった。ただ、そのときはこの言葉に嫌悪感を抱いたようだ。まさしく「開き直ったら人として終わりだ」と。しかし、その後10年にわたり、結局1人だけを愛することができなかった。

 自分の気質はもう変えられない。でも、他人を傷つけるのも避けたい。その中で、「進んでポリアモリーを選択したのではなく、選択せざるを得なかった」という。

 ここでも、おそらく彼女の考えを理解する人は少ないだろう。そもそも、その気質を抑えてこその恋愛ではないのか。結局は、自分が心地よくなるための言い訳ではないかと。1人に絞れないなら、それは本当の恋愛感情ではないという意見もあるかもしれない。

 ただ、Aさんの表情を見ると、10年悩み、挙句に離婚してしまったという苦しみを感じたのも事実だ。

 ちなみに、現在同棲している相手は、もともとポリアモリー肯定派ではなかった。そして、彼女の考えを受け入れたものの、2年間は揉めに揉めたという。

「当時は遠距離恋愛だったこともあり、『他の男のところに行かないで』『男を連れてこないで』と言われました」

 合意の上とはいえ、むしろ他の相手がいると分かってしまうだけに、その中はやはり泥々しているという。

ポリアモリーに対する誤解
浮気との違い、その言葉の指す意味

 なお、一部メディアなどで、ポリアモリーは「複数の人を“平等”に愛する」と定義しているものも散見される。それが本命ありきの「浮気」「不倫」とは違うと語られるが、これはあくまで人によるようだ。

 深海氏の著書にもあるが、例えば「第一パートナー」「第二パートナー」という形で、パートナーの順位ができているケースもある。何より、複数の人と付き合っても、誕生日やクリスマスといった記念日は1日だけ。Aさんも「記念日問題は必ずありますし、パートナー間での順位づけやそれに対する嫉妬、取り合いはよく起こります」という。